輝く新春ニューイヤーショー
■ 98/12/31(水) 11:35:05 □ 1998 除夜の鐘
今日で今年も終わり。What have I done, another year over and new
one just began。雪が舞っている。体が暖まったらタイヤを替えよう。
皆がテレビで映画を見ているので歳末特別番組が見られず、年の暮れ感が
どこか希薄なまま過ぎていく。昼間買い物に出たときの町のざわつきがそれ
らしくて胸がときめいただけ。SHが除夜の鐘を聞きたいというし、あと少
ししたらお寺と神社へ行ってみよう。むかし毎年行っていた深大寺みたいな
わけにはいかないが、どんど焼きくらいはあるかもしれない。
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深夜勝善寺で全員鐘をつき、墨坂神社でだるまを買ってきた。墨坂には思っ
たよりも多くの人が集まり、長い列を作っていた。それなりに新年の気分を
味わえたぜ。しかし帰ってきてテレビを見ても面白いものはないなあ。まあ
こんなもんでしょうか。
年が明けてMがSHたちを送っていくことをすでに心配しているのだが、
Mは前の日に車で出て東京で泊まり、次の日に電車で上野に行きたいという。
そうして1日確保してKVとSHがいったい東京でなにをするのだと思うな
あ。買い物だろうか。上野アメ横とか? 東京は住むにはいいところだけど
訪問しても面白くないと思うのだが、人々はそれは逆だというのである。
■ 99/01/01(金) 22:17:34 □ 輝く新春ニューイヤーショー
すばらしい天気の元旦だった。軽くおしるこを食べてから和服に着替えて
お参りに行き、帰ってからは後から後から出てくるごちそうをひたすら食べ
る。なにもかもうまい。SHは「うーむ。紅茶さえあれば、あとは完全に日
本食だけで私は生きていける。うまい」と唸っておった。家族がみんなそろっ
たし遠来からの客はいるし、暖かいし景色はすごいし、夜には満月まで空に
上り、これ以上は望めないほどのすばらしい年の初めであった。
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夕方新春恒例らしいスポーツマン大賞というのを皆で見ていたのだが、サッ
カー選手の扱いがひどかった。「Jリーガー持久走」というもので、井原中
山福田らがただひたすらトラックを繰り返し走らされていた。他のスポーツ
選手に比べてスタミナがある・ないという比較をするならまだしも意味があ
るが、サッカー選手だけが十把一からげにまとめて走らされ、汗だくになり
酸欠を起こしながらただただ馬車馬のように走らされて、あれじゃまるで馬
鹿である。
いくら人気がないからってなんであんな仕事を受けるのだと考えると、井
原が「これからは芸能の仕事でも受けないとJリーグは生き残れない」といっ
ていたのを思い出す。その決意がこんな馬鹿げたイベントに利用されるんじゃ、
井原も涙の家路だろう。たとえ選手がやるといっても、リーグやチームがス
ポーツマンのプライドにかけて止めてほしいよ。
異種スポーツを競わせるということ自体が茶番でしかないのはわかっちゃ
いるが、やるならあの跳び箱種目のようにゲーム的ファンと達成感のあるも
のだけにしといてもらいたいものだぜ。最後は「このゲームの賞金は彼の年
俸を上回る」というのに判官びいきマインドが刺激されアメフト野郎を応援
したが、かなわず。
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皆が寝るのを待ってから天皇杯決勝を見る。前半は清水がものすごいサッ
カーをして、固くなっているらしい横浜Fに手も足も出させずにいたのだが
(簡単にボールを処理することに徹しており、まったくミスがなく美しい)、
後半エネルギーが尽きプレーの精度が落ち風下でボールを拾えなくなってか
らは、そこまで我慢していた横浜Fのものだった。
2−1とリードして迎えた後半残りわずか、堂々とプレーする横浜の選手
たちは美しかった。首尾に徹していた三浦が好機と見て上がり、PKエリア
ぎりぎりですぱっと見せた切り返しなんて、涙が出そうになるくらい美しかっ
た。シュートははずれていったが、これが俺たちのサッカーなのだと三浦が
シャウトしたようで。試合後のカタルシスを感じにくいイモなサッカー協会
の表彰式で、山口がカップを掲げて塀の上に立ち上がった、その姿も美しかっ
た。スポーツはいいなあ。俺はさほどセンチメンタルにはならずに見ていた
のだが、「また来年頑張ろう」じゃ済まないものゆえの美しさもそこには確
かにあった。
■ 99/01/02(土) 11:59:34 □ 冬の善光寺
新年に善光寺に行ったのは始めてだったのだが、普段閉じている Wheel
Of Fortune 堂(大きなまわり舞台風のものを回すと幸運がやってくる)など
が開いており、位の高い尼僧が従者に傘を差しかけられて歩いていたりして
面白かった。寒かったがSHとKVもお土産を大量に買い込んでご機嫌。M
とSHは歳末からすさまじい勢いで、すべての神社仏閣にお参りをやってい
る。よほどの幸運がこないと割が合わぬ。
■ 99/01/03(日) 12:43:49 □ 松代方面探索
今日はのんびりと若穂の山村と松代を見てきた。俺たちは風景や古い家を
見てドライブしていると楽しいのだが、SHは物静かな人なので楽しんでい
るのかどうかよく分からない。松代の真田邸が開いていたらよかったんだけ
どな。
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KVが日本家庭での晩餐や、善光寺のお参りでの説教(───「You
offended my family and Shourin temple!」という、ブルースリー怒りの
決め文句を引用して言い聞かせたのだ・笑 ───)などを通して行儀がよく
なったのか、それとも単に俺が慣れたのか、だんだんカンに触らなくなって
きた。たぶん俺が慣れたほうが大きいのであろうが、中間点で歩み寄ったと
いう感じも少しある。
今日はジャンクじゃない普通のラーメンをおいしいと3杯も食べ、野菜を
入れろと言っても口答えせず(入れなかったけど)、味が薄いときにもむや
みに塩を振らずに俺にどうしたらいいか尋ねるなど、大きく改善の兆しが見
える。子供を異文化に触れさせるというのは、おそらくすごくいいことなん
だろう。MKもイングランドに行ってからぐっと大人になったというしね。
■ 99/01/04(月)10:04:00 □ 佐久の武士魂
TK夫妻案内による佐久上田ツアー、出だしのチャンコは最高にうまく、
浅間山は美しくていうことなし。ところがそこから夫妻はなんと、ずんずん
と諏訪に向かっていくのである。もちろん夫妻は道を知っているので安心し
て着いていけばいいのだが、東信の人々は北信ローカル田舎ボーイの俺と違っ
て「諏訪まで 45km」という表示に家からのどえらい遠さを感じないらしい。
俺には諏訪といったらもう別の文化圏みたいに思える。途中止まったところ
で「ここ・これでいいのですか本当に」と尋ねて、やっと上田ではなく山道
を通って別所温泉に向かっているのだと分かり安心する。地元の人の方向感
覚というのはすごい。
別所で真田幸村が入ったという風呂に入り、暗くなってきてしまったので
急いで上田城に向かい、薄暮れの城址を見て回る。Mは日本史風の本を数冊
読んでいるので、この城で真田が徳川に二度勝ったということのすごさを感
じとっていた様子だったけど、KVもSHにはただの公園にしか見えなかっ
たかもしれない。天守閣が残っていたらよかったのに、どうしてなくなっちゃっ
たのだろう? なんの本にもそれは書いてないのだ。
TKさんMHさんと話していて気づいたのだが、彼らは故郷佐久のあの大
きな広がりをとてもとても愛しているようだ。俺は北信の山に囲まれた部分
を逆に気持ちよく感じる。方向感覚の違いもそうだし、同じ県内でも風土差
というのが意外なほどあるのだなあと思った。
そういえば佐久平にいるときに、「このあたりの一族は甲州の武田に徹底
的に抗戦して徹底的にやられたのだよ」と時代小説で読んだことをMに説明
すると、じゃあ佐久は今でも武田を嫌いなんじゃないかという。考えてもみ
なかったことだがTKさんに聞いてみると、実に「佐久と諏訪(武田の一部)
は今でも仲が悪い」のだというまんまそのままの返事が返ってきたのがおか
しかった。そんなことも騒乱の少なかった長野以北に住んでいると知らない
ものだしね。
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帰ってからの相談の上、出発は当日にしておこうということになった。東
京に泊まってまでしたいことなど誰もないのである。俺たちは上野で見送っ
た後神田に出、古本を探すかRに会って帰ろう。しんどい高速ドライブがな
くなったのでほっとひと安心。
夜テレビで新日プロレスを見た。ちょうどKVの好きな nWo 選手対武藤と
いうカードなので見せてやろうと録画しようかと思ったのだが、新日プロレ
スというのはやっぱりアナウンサーの日本語解説が入らないと、なにをやっ
てるかよく分からないのである。痛いのか効いているのかをアナウンサーが
決めている。見せる価値ないなあと録画を切る。
■ 99/01/05(火) 13:24:53 □ 最後の観光日
「さようならSHこれは最後のサービスですよ」というかのように、完全に
雲ゼロの青空の下、朝イチで小布施温泉に行く。一冬に何度もないような、
地の果てまでアルプスが見えるすばらしい絶景となっていた。露天風呂がポ
カポカで最高。帰ってコーヒーをもう一杯、そしてSHたち最後の日を楽し
もう。
いい天気なので、俺たちがコーヒーを飲んでいる間KVにロコの散歩をし
てもらおうとすると、SHが「KVは他の犬を恐れるからだめだ」という。
犬が嫌で行きたくないならいいが、彼が行きたがってるんだから他に怖い犬
がいるかもしれんなんていう空しい理由で避けてばかりいられんだろうと思
い、行かせる。ロコがウンコしたらちゃんと拾ってくれよ。それからロコは
他の犬を怖がるから近寄らないほうがいいとKVが他の犬を避けるための口
実を与えて送り出す。
それでも1時間近くも帰ってこないので心配になって自転車で見に行って
みると、KVとロコはハッピーそうに濡れて帰ってきた。「他の犬を避けて
二つ上の橋まで行ったんだ、坊さんたちがナムナムナムと歌を歌ってたよ」
とうれしそうに報告するKV、よし :-)。
今夜最後のご飯を食べて、明日の夜からは通常業務だ。思ったよりも楽し
かったが、思ったとおりに腹が立ちもした。やっぱり自由が恋しい。
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さか田レストランに最後の晩餐をいただきに行くときに、例によってKV
がふざけて歩いていて転んで泣いた。ふざけていて転ぶなよといえば余計な
ことをいうな大人は弱虫だといい、転べば泣くのだからいやはやなんとも。
夜にはのどが乾いたが今家にある飲み物(なにも試してない)はいやだから
なんとかしてくれとSHにねだったり、こたつから横柄にSHを呼び付けた
りあれこれ我が侭をまた発揮して、結局イライラが元に戻る。昨日あたりは
奴の子供っぽさに慣れたと思ったが、我が侭さには慣れることができない。
SHはあまりにも子どもたちの我が儘に対して寛大過ぎるぜ。その過剰な
までの母性的な性格からくるものなんだろうが、なにを要求されても容認し
てやっているので(理不尽な要求の聞き流しも含まれる)、KVはほとんど
なにひとつ我慢する必要がないのだ。Mや俺にいえば叱られるのを察知して
俺たちにはもう我が侭を言わないのだが、SHがあれでは性向が改まるわけ
がない。Mが小言をいうと「僕に批判的すぎる」とKVはわめくが、普通の
家庭ではお前みたいな甘えは批判以前の問題で、まったく存在を許されんの
だよとがーっといってやりたくなる。
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それで不機嫌になってMに愚痴をこぼして分かったのだが、彼女も俺と全
く同じにKVに一から十まで小言をいいたく、SHがそれを嫌がるので言え
ず、爆発しそうなのをずっと抑えていたらしい。SHは教育としつけに関し
て他人の介入を絶対に許さないのだそうだ。他人の介入を許さないなら他人
を嫌な気分にさせない子供に育てる義務があるだろう。あれほど賢い人がど
うして俺たちの苛立ちに気づかないのだろう。その辺の生命の仕組みが分か
らんです星くん!
俺もMもSH個人はすごく好きだし彼女の滞在を楽しんだのだが、「もっ
と大人にならない限り、KVはもう連れてこないでくれ」とMは伝えるそう
だ。それで彼女が少し考えを変えてくれたらいい。この滞在中にKVの我が
侭を直してやりたかったとフラストレーションは残るが、時間切れです。
■ 99/01/06(水) 08:56:19 □ バイバイ親子よ
8時半起床、今日は長い1日になりそうだ。天気はいいがまだ暗い。
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アメ横をちょろっと案内してお茶を飲み、SHの巨大ダッフルをかつ
いでJR上野から京成上野に歩く。この案内のためだけに来たような気がす
るぜ、はっきりいって。なんでもっと外国人にも分かりやすい標識を作らな
いのだ鉄道会社の馬鹿め。
そしてそのダッフルが異様に重い。こいつにクリスマスプレゼントをぎっ
ちり詰め込んできたので帰りはカラかと思っていたし、さらにうちに荷物を
1箱分置いてもいる。それでもまだこんなに重いというのはどういうわけな
のだと聞いてみると、中身は衣料品なのだという。なあに〜 (+_+)!? M
の服を借りれば済んだのだし、たかが2週間の旅行でこんなに服を持って歩
く人はいないぜとほほと思いつつ、京成改札で見送る。さよなら、かわいく
てどこかヘンなSH。またな、気立てはいいけどイラつかされるKV、早く
大人になってくれ。
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そして古本街を目指し御茶ノ水に来たが、もう疲れ過ぎていて、無限の本
の海の中からなにかを探す気力もないのです。Mは洋書屋で \700 均一のペー
パーバックを見つけて、かなり買い込んでいる。これだけでも来た甲斐があ
るだろう。俺はそれを見ながら床に座りモバギアでこうして書いてるってわ
けさ。
はあ。2週間はあっという間だったが、あれこれと楽しいことと腹が立つ
ことが交互にやってきたホリデイだったなあと、お茶の水のカフェでMと話
す。あとは新幹線で帰るだけだ、やっぱり電車は楽なり。歩いて足が痛いけ
どね。しかし春にはまたMの父親が来るかもしれんのだとため息を吐く家路。
日本は最悪だ行く価値なにもなしと、帰ってからSHが父親に言ってくれな
いかしら ^_^;。
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