サッカーにしてくれよKVボーイ
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■ 96/10/13(日) □ サッカーにしてくれよKVボーイ
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KVのアメフトを見に行ったのだが、KVがあのプロテクターを身に
つけているのを見ているだけで寒い思いがした。プロテクターだけなら
まだしも、舌をかまないようにマウスピースをくわえ、さらに衝撃でそ
のマウスピースが喉に落ちて窒息しないように、ヘルメットにコードで
つながっているのだ。なんでこんな小さな子をこんなものでガチガチに
固めてまで戦わせなけりゃならんのだ。なにかが決定的に間違っている
と、俺とMは絶望的な思いになるのだった。
試合が始まるとさらに虚しさは増していくばかり。最初の第1プレー
で怪我をして退場する子が出て、もうハナから『だから言っただろうや
めろって』と言いたい状態。
そしてKVは DF なので応援のしようがない。TV でうまいやつを見
ているとよく分からんが、メンバーのほとんどがボールに触れないのみ
ならず、1試合中アクティブなプレーに一切関わらずにゲームを終える
子がたくさんいるではないか。元気なKVでさえボールに触ったのが1
度、敵にタックルをトライしたのが数度だけで、あとは遠くで起こって
るアクティブなプレーを見ているだけだった。運の悪い子や度胸のない
子やどんくさい子は、おそらくほとんどなにもできないで終わることだ
ろう。
『技術がなくても、脚が遅くても適材適所で誰でもプレーできるのだ』
とアメフト好きは言うけれど、あのまがまがしいプロテクターをつけて
全員をとっかえひっかえフィールドに押し立ててそれで平等と言ってる
だけで、実際はでかいものだけが勝つスポーツなのは火を見るよりも明
らかではないか。建前は平等で本当は力のあるものが徹底的に勝ち、弱
者はそれを助けるために他の弱者を妨害する(防御しようと走るDFを
相手の攻撃陣が押さえつけ、ボールを持った攻撃側の選手がそれを横目
にホホイのホイと空いた道を走って行くというのは、見ていてめちゃア
ンフェアな感じがする ^_^;) というシステムは、まるでどこかで聞い
たことがあるではないか > このスポーツが作られた国よ。
KVのチームはデルタで最弱の U-13 だそうだが、一目瞭然全員普通
の子ばかり。敵のチームは 13 才で俺くらい背があって体重が数十キロ
重そうなのがごろごろしてるんだから、話にならない。ガンガンタッチ
ダウンされて何十対0で負けた。あばらを打って痛がりながら帰ってく
るKV。「今日は最初からチームに勝つ気がなかったよ、誰も一生懸命
やってなかったもん」。──そんなスポーツはやめろ、頼むから (^_^;)!
......と部外者の俺は言えなかったが、子供にこんな虚しいスポーツを
やらせていていいのか保護者たちよと思うぜ。見ていてただつまらない
だけならまだ我慢できるが、悲しかったわ本当。誰がこんなスポーツを
作ったのだと怒りも湧いてきた。
聞けばKVは体操だけやってると「女のスポーツをやってる」とバカ
にされ、フットボール「も」やってるおかげで助かってるんだそうだ。
やっぱり日本のような陰湿ないじめはなくても、そういう大陸的ライト
ウィング風な子供のあれこれはあるんだろうなー。
それでもKV自身はフットボールがけっこう好きなんだそうで、Mが
「こんな退屈なスポーツはやめてサッカーにするべきだわよあんた」と
いうと「そんなの僕の自由だろう!」って怒っていた。が、子供は悪趣
味なのが普通なので、こういう場合だけは回りの大人が道を正してやっ
ても許されると思うのだが......(^_^;)。
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帰ってきて、録画しておいたサッカーカナダ代表の WC 予選を見てい
ると、同じスポーツでもなんたる違いかとつくづく思う。サッカーには
夢とクリエイティビティと本当の平等が詰まっているよ。あんまりエレ
ガントでないカナダチームのプレーでさえも (笑)。
カナダはキューバに2試合続けて圧勝。これで1次予選は1位抜けだ。
以前イングランドでプレーしていたカナダのストライカーは、実にチャ
ンスに強い。カナダのカズといった感じ。そしてカナダチーム自体が、
ブラジルオリンピック代表に完敗した時に比べて格段に強くなってるよ
うに見える。前は元気に走るだけだったのが、今はパスを出し入れする
角度に相手の裏を取ろうという鋭さがあるし、個人技の正確性も非常に
上がってる。ほとんどが MLS でプレーしているようなので、やっぱり
プロでレギュラーにサッカーをやってる効果が出てるんじゃないだろう
か。
はあ、昔みたいにKVにサッカーをやってほしいと、俺とMはため息
をつくばかりなのであった。
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