アロハ Big Island (2)
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■ 96/12/06(金) 10:36:08	 □ クレイジーレイジー Again
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     目が覚めてみたら今日は曇ってやや涼しくなっていた。

     昨夜なかなか眠れずパンフレットをいろいろ読んでたのだが、ハワイ
    の歴史ものが異常に面白かった。昨日行った Parker 牧場物語も面白い
    し、やっぱり首都ヒロあたりの話が fascinating。砂糖工場用に鉄道が
    作られ、それが火山観光や戦役に使われて隆盛を誇り、やがて衰退し大
    津波に流されて消えて行くという大絵巻。すごい。マウイでも古い町並
    みは昔のアメリカという感じで味わいがあったしな。

     今日ついにアジアカップに日本が登場。MLだけではなかなか結果を
    つぶさに手に入れることは難しいのだが、きっと日本に関する結果だけ
    は明日手に入るだろう。今年の好結果が全てフレンドリーゆえのフロッ
    クだったとされないよう、圧勝してほしいもの。

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     14:50 昼頃さて少し出かけようか......と思いつつ、あまりのレイ
    ジーな心地よさに寝てしまった。さすがにちょっともったいない時間の
    使い方をしてしまったと感じる。まあ食事がてら夕方出かけてみるのも
    いいけれど。

     日本弁当屋で巻き寿司を買ってきて食べてると、映画「ブラックレイ
    ン」を TV でやっていた。ひどいよなあこれ、何度見ても。俺が高倉健
    や他の役者なら出演拒否するよ。どんな役者でも何十年もかけて築きあ
    げてきたものがあるだろうに、それが全く無視されている。

     そして驚いたことに、日本語のパートに全く字幕が出ない。これは元
    からアメリカ版はそうなんだろうか? さすがにストーリーの進行に不
    可欠な部分は全役者に英語を喋らせたり(それもひどい話だ)簡単な字
    幕が出たりしてるけど、日本の役者の喋りによる演技はほとんど完璧に
    無視されているのだった。ひどいなあ。松田優作も命をかけた映画がこ
    れでは、草葉の影で泣いていることであろう。彼の演技は何度見てもす
    ごかったけど。

     アメリカ・カナダ人が外国映画を見ないことには気がついていたけど、
    Mに聞いてみるとやっぱり、「アートな人々」や特別な映画好き以外は
    字幕を読むのがイライラしてだめなんだそうな。うーむ。それでは国際
    理解なんてこの世の中に訪れない道理である。

     そういえばスピルバーグの名作「エンパイア・オブザ・サン(だったか
    な)」でも日本語部分に字幕がゼロだった。あれは外国語の分からなさ
    を演出として使うという制作意図なのかと当時は思ったが、今考えてみ
    ると違うのだな。「これはなにかの間違いです。私たちは友だちではあ
    りませんか」という英少年の必死の叫びが、果たして日本語を解さない
    人々に通じていたのだろうか。

     こないだのマウイでもそうだったけど、USA に来るたびに TV から
    USA というものを強く感じる。カナダでも USA でも TV は同じだと思っ
    てたけど、やっぱりかなり違うのだった。

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     長野のどこか山奥の工事現場で大規模な地滑りが起こったらしい。死
    者も多く出ているとのこと、オリンピック関係だろうか。こんなとき
    Web にアクセスできないのはつらいな。

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■ 96/12/07(土) 22:14:57	 □ 銀嶺の覇者
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     7時に起きてメールを受け取り、日本のアジアカップ第1戦勝利を確
    認してからオーシと出発。長い道のりを延々と走る。道の両側にかわい
    い民家が並び、花を携えた木々が植えられていてMは上機嫌。「マウイ
    よりいいわね!」「そう? マウイの方が緑はしっとりしててきれいだっ
    たように思うけど」。でも花と美しい巨木は確かにこちらのほうが多い
    な。

     制限速度をちょっと超えるたびに超ルール遵守主義者のMが口を出す
    ので、自分でペースを判断して安全に走ってるだけではないかねお前さ
    んと言いつつ2時間強の行程を行く。半分ほど進み、溶岩の原野を抜け
    たところで素晴らしい光景になった。右に海、下界に集落、左に溶岩ドー
    ムの跡と思われるキテレツな丘の連なり。おお、すごい。こういうダイ
    ナミズムがこの島の魅力なんだろう。

海の景色
 道中ガスを入れようと思ったのだが、唯一見つかった道沿いの町のG Sがシェルだったので、『シェルでだけはガス入れるべからず』という 家訓に従ってあきらめて火山へ向かう。どうか後でGSが見つかります ように。火山公園に入る手前から霧雨になった。雨というか、これは雲 の中を走っているのだ。明るさも気温も晴れ間とそれほど変らない。 ----------------------  公園に入場。ビジターセンターで一息ついて、大火口をぐるりと回る クレーターリム・ドライブに一気に突入。完璧主義者のMの意見により、 『硫黄の土手』なんつーところまで見てまわる。......なんというか、 これは硫黄の土手だね、くさいね。次いで『蒸気の穴』......なんとい うか、これは地面の穴から湯気が出てるだけだね......君ね、長野の湯 田中温泉にだってこんな穴はあるよ。こういうのは無視して先を急ごう、 と急かすのだが、公園内のイベントを一つたりとも見逃さないぞと彼女 の決意はなかなか固いのだった。  そしてあまりにも有名な、キラウェア火口。おおおおおお \(^o^)/、 すんごい! これはつまり、このとんでもなく巨大な火口一面が煮え立 つ溶岩の湖だったわけね。想像を絶する事実。熱い時に見てみたかった な〜。半径数キロは熱くて近寄れなかっただろうか、地獄の窯に。
CRATER.JPG a) Halemaumau Crater
 しばらく行くと、別の角度から火口を見下ろすミュージアムがあった。 これまたすばらしい景色。中では、科学者たちが噴火の際にホットな溶 岩をハンマーや長い棒で採取しているシーンがビデオで流されていた。 あつ・あつ・見てるだけで熱いよ。命知らずの学者たち :-)。  そこから南にぐるりと回ると、溶岩の原野。いちめんようがん・いち めんようがん。これはなんか非常にフレッシュな溶岩原野なのではない かと見ると、ところどころの看板に溶岩が流れた年が書いてある。 「1974 年」と書かれたところで車を止めて、つやつやの溶岩の原に立っ てみる。まだ熱かったらたいへんだなと思って恐る恐る手を当ててみる。 冷たい、助かった。溶岩の彼方に巨大な Southwest Rift(地面の断層 裂け目)の真っ黒な口が見える。あそこが裂けて真っ赤な溶岩がここを 走ったのだろうか。  次にキラウェア火口内ハレマウマウ・クレーター。駐車場からものす ごい向かい風の中をクレーターに向かう。酸素が薄くて息が苦しく、風 も手伝ってはあはあとなる。クレーターは、信じられないほど見事にく り貫かれた巨大なスタジアムだった。美しい。そこかしこからいまだ蒸 気が上がっている。
CRATER and Mel Halemaumau and Mel
 もう一つ小ぶりのクレーターと火山灰の山に埋もれた「破壊のトレー ル」を見て、いったん昼飯に戻る。ふー。すごいぜ、さすがに :-)。 ----------------------  ご飯を食べてから公園に戻り、「ラバ・チューブ(溶岩トンネル)」 に入る。絵に描いたように見事なレイン・フォレストのジャングルの中、 ぽっかりと不気味にトンネルが抜けていた。これもクレーター同様、自 然現象で作られたとは信じられないほどきれいにくり貫かれたトンネル になっている。長さおよそ 70〜80m。富士山には溶岩に封じ込まれた巨 木が灰となって消えたラバ・チューブがたくさんあるそうだが(実際 MTB ツーリングで見たことがある)、これは外側だけが固まって、中の 溶岩が流れ出したものだそうだ。  このクレーターリム・ドライブから下の海岸線まで一気に下るチェー ンオブ・クレーター・ロードというのもなかなか面白そうなのだが、朝 出てきてもう3時。往復 50 mile のその道に行ったら帰りは真っ暗だ。 それは気乗りがしないので、よすこととした。たぶん「1974 年の溶岩 原野」的風景が延々と続くんだろう。その道の終点に、溶岩に呑み込ま れたKalapana の集落があったわけで、道路が溶岩によってぶった切ら れているその風景は見てみたいけれど。 ----------------------  帰りはMに運転してもらい、寝てしまった。目が覚めるとハワイ島最 南端付近のブラックサンドビーチについていた。まだ時間があるから、 ここで休もう。ほんとうに真っ黒な砂。裸足で歩いてみると、砂という よりは鉱物、石炭の粒の上を歩いているような感触。気持ちいい :-)。  子供たちが黒い砂浜でボディサーフィンをしている。浜辺にはヤシと 池と昔風のコテージがあって(誰かの別荘か)、夢のような楽園風景を 作り出していた。やっぱりこういうなごむビーチがないと、海辺のリゾー トにいるというお気楽気分が盛り上がってこないな。そこがマウイ(の 南岸)とこの溶岩の島の違いなんだと思う。こういう許された土地があ るということがほんわかな気分にしてくれるのだ。  人々が磯の岩に行っては写真を撮っているのをぼんやりと眺めていた ら、「あっ! 亀よ、あの人たちは亀を撮ってるのよ!」とMが気がつい た。───!! ほんとだ、巨大な海亀が磯にいる! あわててビデオを 持って行ってみると、磯の岩にはまって動けなくなってるのだった。お お、哀れ。しかし大丈夫、すぐに潮が満ちて泳げるようになるからな。 そう思ってるといきなり大きな波が来て、亀がぐぐぐと沖に向かって這 い出た。がそれが裏目で、よけいに身動きできなくなってしまった (^_^;)。
亀 亀の受難
 まあ人が持ち上げても持ち上がるサイズではないし、潮が満ちるのを 待つしかないな、ほんと。しかしこんな巨大亀が当たり前にいる島なん だなあ。海に潜れば熱帯魚の群れなんだろう。  岩にはまっちゃって、観念して水が来るのをおとなしく待ってるみた いよとMに説明する。「こういうときは助けてあげると恩返しにだね.. ....と教えてやると、前にも鳥を助けたけど何も起こらなかったじゃな いよと言われてしまった (^_^;)。一応海の家的施設に「亀がたいへん ですよ」と報告したのだが、よくあることで待つしかないとのことだっ た。やはりね。  だいぶ日が傾いてきたので再出発。また寝てしまった。気がついたら ホテルの近くまで来ていたので、かなり眠ったようだ。長い一日だった。
写真 a は借り物です。あとは偉大なPさんからビデオキャプチャーをお借り して作成しました :-)。

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