【二輪免許取得篇・10 --- ついに実地試験】
Newsgroups: fj.rec.motorcycles
Subject: Re: Our Fellow Bikers :-) Vol.3
Date: Sat, 3 Aug 1996 06:55:30 GMT
【二輪免許取得篇・10 --- ついに実地試験】
■ 96/08/01(木)
受けてまいりましたカナダ B.C. 州二輪免許実地試験。Maple Ridge の
Nさんのご好意でお借りした SR250 号を駆り、うちから約 30 分のリッチ
モンド免許試験場へ。
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その試験場の様子がどうなっているかまったく分からなかったので、
「受験者は二輪免許保有者と同行せねばならない」という規定にマッチし
ていない単独行の私は、なにはともあれ偵察だと時間より1時間早く現場
に到着しました。一度目は試験場を横目で観察しながら素通り。うむ、規
定違反受験者を見張っている怖い人はいないなと確認してから入場 :-)。
駐車場の一角にバイクが何台かとライダーたちがいます。近寄ってみる
と、フェンスに囲まれた狭い区域にコーンが置かれ8の字が地面に描いて
ありました。ここで試験の第一段階「Novice Test」をやるのだ。しかし、
なんだこのコースの狭さは。畳20畳、子供の三輪車コースという感じ。
こんなに狭いところで乗るのかと不安がよぎります。スラロームも8の字
も、日本のよりはるかに小さく狭く見えるし。
受け付けを済ませて(結局「二輪免許保有者同伴」の確認はなし、アバ
ウトな国カナダ :-) コースで待ちながら、前の人の試験を見学。やはり、
これは思っていたよりもはるかに難しいと思いながら自分の番がきました。
まずはバイクのハンドルをフルロックしての8の字押しまわし。ハンド
ルをちょっとでも戻すとだめだと言われるので気を使うのですが、無事終
了。それから外周をスローで回り、坂道......というか地面のコブうえ発
進をします。この辺は問題なし。ついで8の字走行、これが厳しい。日本
だと流れの中でスピードを加減しながら8の字/スラロームに入りますよ
ね、ギアは2速で、アクセル ON/OFF をきれいに使って? ここのは、8
の字のまんなかからいきなり発進させられるのです。
当然ローで半クラとリアブレーキ命なのですが、ハンドルフルロック状
態で押しまわすのと同じ8の字ですから、きついのなんの。バランスもく
そもなく、とにかく可能な限りスピードを落としてふらつきながら回るし
かありません。冷や汗もので3周して合格。ぷー。緊張で肩が痛くなりま
す。
ついでスラローム。これもバイクの前輪と最初のコーンがほとんど接し
てる状態で停止からスタート→Uターンで逆スラロームですから、当然ロー
で半クラ。2速でアクセルワークのスラロームは練習していたんですが、
これは成功するかどうかやってみないと自分でも全く分からない。非常に
やりたくないんですが、中国系3世風・性格のきつそうな試験官は容赦な
い面持ちで待っています。
ええいくそと、8の字と同じくふらつきながら無理矢理5つのコーンを
よけて走り、Uターンして逆もアレアレになりながら、コーンだけは倒さ
ずフィニッシュ。すると試験官は言うのです、「もう一度」。「もう一度?」
「ああ、コントロールを見せてくれなきゃだめだよ」「コントロールぅ
(;_;)??」
仕方がない、もうコーンのひとつ二つは倒すのも覚悟で思い切り行こう。
倒したところで減点になるだけだと説明もあったし。とわーっと一気にさ
きほどの 1.5 倍のスピードでトライ。信じられないことに、コーンは一個
も倒れませんでした。「OK」。はーっ、もう両腕は緊張と疲労でごちごち。
そしてバイクに股がったまま地面のコーンを拾うというゲームのような
ことをやらされました、これも見ているときは楽勝かと思ったのですが、
やってみると意外に難しい。
────────────┐ 図のように配置されているコーンのあいだ
3● ● │を【発進→90度転回→コーンの間に停止→
↑ │ギアをニュートラルに入れ、片側のコーンを
● │拾って反対側に差す】と繰り返すのです。コー
→ → ↑ │ンの間に距離があればどうということはない
↑ ● │んですが、実際はクラッチを一発つないだだ
2 │けで到達してしまう距離にコーンが配置され
●↑● │ているので、2と3にきれいにノーズを入れ
│るのが難しい。一応できたんですが、車体が
↑ │きちんと90度転回していなかったので、試
────────────┘験官はしぶい顔をしていました。うーむ。
ともあれこれで「Novice Test」は終わり。......ぷー、どうやら無事済
んだようだが、この極低速攻めにはまいった。二度とやりたくないな。N
さんは二度脚をついても大丈夫だったそうで、失敗しても簡単に落ちるこ
とはないらしいんですが、要求されるライディングは驚きの大変さでした
(ちなみに私は日本の限定解除は一度トライして落ちてますが :-)、スラ
ローム・一本橋・波状路のパートは普通に通過できました)。
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囲いから駐車場に出て「Final Test」です。「シグナルをきちんと使い
ながらここをまっすぐあそこまで行って、右折して左折して帰ってくる。
途中私が合図を出したらシグナルを出しながらレーンを左にチェンジし、
次の合図で急制動だ。分かったね?」。はいはい、低速地獄の苦しさに比
べたら、そんなのわけもありません。すいすーいっと行って来て急制動し
て1分で終わり。
「───OK、では質問です......」
「───へ? 終わりですか?」
「ああ」
「というと......」
「合格だよ」
「ああ神様、感謝します (;_;)!」
まさか駐車場を1周するだけだとは......。極低速さえなければなんだっ
てうまくやってみせるぜと意気込んでいたので、拍子抜けではありました :-)。
そして法規理解確認の質問で締めとなります。
「自動車のドライバーは二輪車と事故ったときに普通なんというか?」
「― 見えなかった」
「それでは事故を防ぐには?」
「― 明るい色の服を着用し、ライトをつけ、つねに目立つように心掛ける」
「B.C. 州では一時停止で脚をつかなければならないが、どちらの脚?」
「― 変速側の脚」
OK、これで終了。低速走行・取り回しの厳しさと、それ以外の部分がえ
らいアンバランスだなという印象でした。採点は「低速コントロール -5」
とだけチェックがついていました。低速を制するものは高速を制するとい
うトライアル競技的な考え方なのかしら。それならたぶん正しいけれど。
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全てが終わり、晴れて B.C. 免許取得者として路上に出ると、もう怖い
ものなし。さっそく飛ばしまくり......はしませんでしたが、やっぱり後
ろめたさがないというのは気分がよいのです。やったやったとニヤニヤし
ながらリッチモンドの橋をぐわーんと渡り、大好きな Cambie 通りを走っ
て 12th St. から高速に乗り、バイクを返しにNさんのところへ向かうので
した。もう大丈夫だよベイビー、俺たちは鳥のように自由なのさ :-)。