【Journal】先生、これが鴎外なんですか
■ 00/08/22(火) 13:02:42 □ 人工生命続々と生まれる
一日萌の隙を見ながら Cre2 を走らせ、今ブリーディング段階、期待通りの
キュートな男女が生まれた。この子らは遺伝子的に親よりも賢い可能性がある。
そうでない可能性もあるけど。
しかしいろんな FAQ を読めば読むほどこのゲームの成り立ちの面白さに気
がつくな。「食べたときに誉めてやるのは実はよくない」という説があって、
なぜなら食べたときになでられるとそのうれしさを学習してしまい、食べる満
足感を適正に学習しない(つまり誰かに誉められないと食べない)危険がある
というのだ。これはまさに見事なパラドクス。また、Norn は眠っている間に
昼間の行動をプロセスして脳に学習を刻み込むとのことで、俺の眠らない
Norn たちの覚えが悪いのには理由があったのだ。これらコンピュータプログ
ラミングのロジックとパラドクスの見事さに感動してしまう。
また、それらの FAQ を書くようなマニアに、女の人が非常に多いのもこの
ゲームの特徴だと思う。やっぱり愛玩系は女性のハートをくすぐるのだろうが、
ネット界最賢 Norn を作った人も、彼女と協力して人魚&サソリ Norn を作っ
た人(もしかしたら日本人)も、はたまた大量のツールを作って供給している
ニュージーランダーも皆女の人だ。こういうマニアックな趣味を持っている女
の人というのは俺の人生で出会ったことがないので、非常に興味が湧くな。
■ 00/08/23(水) 08:54:13 □ Cre2 は OS なり
Cre2、裏技ですべての置物の位置を変えられるようになった。さらにあらゆ
るツールをインストールしては試し、非常に快適になってきた。このゲームは
ユーザーによってめちゃくちゃ強化されている。元々これだというゲーム性が
ない分どこまで改造しようが自由で、ユーザーが不便だと思ったところはほぼ
確実にユーザー自身によって改良されているみたいだ。このユーザーの参加の
仕方がまるで Linux だ。
そうか、このゲームは OS なんだな。Norn たち生き物と各種ツールオブジェ
クトというアプリケーションが動作している OS なのだ。その言語とプログラ
ミングツールが公開されているからユーザーがどんどんとすばらしいツールを
開発して配布し、常にアップデートされている(いたのだろう)。不要オブジェ
クト除去ツールを使って最適化し、動作を軽くすることもできた。こういうと
ころもまさに OS。そしてこういうチューンアップの方が下手するとゲームよ
りはまり、チューンが終るとさてこれからどうしたものかとなる(笑)という
のも、これまた OS なのである。
俺が Linux に興味はあるけど入っていかないのはここに答えがあって、こ
の Cre2 World のように OS を創造するのが面白いというのはまったく分かる
のだが、それからどうするのだというアイデアが浮かばないのだ。俺が初めて
買ったコンピュータソフト VZ すらまだ現役で稼動している Win というプラッ
トフォームは、チューンの楽しみは薄いかわりに「それから」やることはほか
と比較にならないほど見つけやすい。
OS といえばまた Win98 を試したくなってきた。フリーの IE4 削除ツールが
今はあるので、リソースを食わないマシンにすることができるかもしれない。
98 にすればマシンがブート失敗することがなくなり、さらに CPU の最高速も
使える。しかし失敗したときに(IE を削除しても不安定だった場合)95 に戻
すのがあれほど難しいのがなあ......。
■ 00/08/24(木) 13:14:31 □ 発作的 Win98Lite
Mに「新しいツールが見つかったので、安定性と一発起動の両方が手に入る
のだ」と言い訳しつつ Win98 インストール開始。今回は前回の異常終了には
ならずちゃんとインストールできた。ノーマルでも動作が意外に速い。
その後 Win98Lite と IE 削除パッチを入れ、リソース 80 台を記録。よし。
驚くほど安定している。こうしてみると、あの「アクティブデスクトップ」や
らが不安定の原因だったのね、やっぱり。「Win98 は 95 より安定している」
という売り文句は、純粋に OS レベルでは本当であったのかもしれない。
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今日は萌誕生以来最高に機嫌のいい日であった。食べて寝て遊んで笑って、泣
いた時間などものの数に入らないほどであった。ああ成長しているなあとあり
がたい。機嫌よく一人で遊んでいてくれると、実に助かる。
■ 00/08/30(水) 11:42:10 □ Roxy Music
Roxy Music を聴いて快感にはまりながらとある Cre2 情報ページを読んで
いて、「このページを書いたのはえらい無邪気な女の子だなあ」と思っていた
ら 14 歳の子だと判明した。うわは。14 歳でも html をバリバリに書いて世
界に送れるんだよなあ。俺が 14 歳の頃なんてソニーのラジオでラジオオース
トラリアを聴くのがせいぜいの楽しみだったのに。
夢の中でよく、中学高校くらいの女の子とドリーミィに話していることがあ
る。あんなドリーミィな気持ちを、妻や子に気兼ねなく(笑)音楽にすること
ができるのがブライアンフェリーなんではないだろうか。
■ 00/09/01(金) 10:55:06 □ 文学三昧『三四郎』を読みふける
昨夜ネット青空文庫で見つけた漱石の『三四郎』テキストを読む。評判のエ
キスパンドブック版もあったので試してみたのだが、1ページに16行しか表
示されないという呆れたやつで、昔京さまに頂いた T-Time の方がはるかに読
みやすい。というところで思い出して T-Time を引っ張り出しテキスト版をロー
ドしてみると、やっぱり素のテキストで読むより大幅に読みやすい。それに縦
書きで読むことによって、明治の雰囲気がぷわ〜んと出てきて気持ちいい。
『三四郎』は柔道家の話なんだろうと思っていたらぜんぜん違って、恋と存在
に悩める明治の青年の話で、悩んでも深刻さがないところが落語的で面白い。
こういうものがネットで読めるというのはありがたし。これら数百の古典テキ
ストファイルは皆ボランティアが入力してるのだそうである。本を横において
タイプ筆写し続けるとはえらい大変なことで、これも Linux 精神なんだろう
か。それとも写経の境地なのかな。なんにしてもありがたいことだ。ネットに
はありがたいことがたくさん転がっている。
■ 00/09/02(土) 12:32:40 □ 萌三ヶ月バースデー
萌3ヶ月めの誕生日、午後からP家に行き祝ってもらう。焼き肉がナイスで
あった。もう長いことコリアンレストランにも行ってないから、しみじみ焼き
肉はうまいと思う。
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P家で見た日本 VS クウェートは、前半日本が圧倒的に攻めていながらスペー
スが作れずシュートが打てないという展開でクウェートのペースだったのだが、
後半に入った選手が全員爆発して 6−0 での圧勝となった。2 点を取ったのが
なんと補欠の吉原で、やっぱりこいつのバネのような速さは補欠には惜しいと
思う。爪先まで神経が行き渡る気持ちよさ。が前半の柳沢のポストプレーも唸
るようなうまさだったし(あれほどうまいとは知らなかった)、高原は打つ場
所さえあれば本格ストライカーとしてはずせないし、平瀬の「オレは決めて当
たり前だ馬鹿野郎」と言っているようなふてぶてしいシュートもすばらしかっ
た。トルシエでなくても迷う U-23 FW 陣だわ。もちろん彼らが世界トップク
ラスにあるわけではないが、どれもがいい FW として世界に連れて行きたいだ
けの選手群なのは間違いない。「まあ城しかいないか......」と言っていた4
年前と大違い。
中田は特別にいい仕事をできなかったのだが、このチームではいつもあんな
ものではある。別に中田が光らなくてもチームが回ればいいのだろう。中田が
抜けた後の中村の弾け方がすごかった。やっぱり真ん中をやらせるとうれしす
ぎるのか、常時勝負しっぱなしの痛快娯楽サッカー。相手が疲れてプレスが甘
くなったこともあって、後半から入った本山も合わせてこれだけ突破が見られ
るチームはやはり気持ちいい。前半の出来を見ると不満が残るが、後から入れ
る選手にあれだけゲームを変える力があるチームをオリンピックへ送れるとい
うのは、ひとつ幸せなのだろう。オリンピックの試合を見たいですねえとP氏
と共に泣く。
『三四郎』読了。中盤から後半は、やはり明治の青年に対してフラストレーショ
ンがたまる話であった。丸谷才一によれば、あれが時代を映しているのだし、
またドラマを避ける漱石の心境は、欧文学との対極にあるのだとのこと。続けて
『坊ちゃん』を読み出す。『三四郎』とはえらい違いの痛快丸かじり小説。眠れ
ぬ。
■ 00/09/03(日) 14:08:04 □ 先生、これが鴎外なんですか
たまった夜更かしの後遺症か、久々に昼過ぎまで爆睡して叱られる。今日は
仕事なのだが、マシンがあまりにも調子がよいのであれこれとファイル整理な
どをして気分を整え中。それに『坊ちゃん』が面白すぎて仕事を始められない。
15:19 ふー、一気に読んでしまった。面白かっ・た。漱石はまったく、深刻
であってさえも落語の系譜だなあ、読んでいて楽しくて仕方がない。
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仕事は晩飯後さっさと終ってしまったので、ちょっとほかの文豪も読んでみ
ようと森鴎外『舞姫』を探してダウンロードしてみると、
「これにて一時の急を凌ぎ玉へ。質屋の使のモンビシユウ街三
番地にて太田と尋ね來ん折には價を取らすへきに。」少女は驚き
感ぜしさま見えて、余が辭別のために出したる手を唇にあてたる
が、はらはらと落つる熱き涙を我手の背に濺ぎつ。
といった調子で、かろうじて意味が分かるという古文解釈の世界になってし
まった。これはさすがに無理か。鴎外の現代訳ってあるのだろうか。しかし苦
心して読んでみると、ドイツ娘を身ごもらせながら立身のために捨てて日本に
帰るとしか読み取れず、なんでこれが明治文学金字塔やねんと呆れてしまった。
それとも俺の古文解釈力に問題があるのか? Web でざっと調べてみると実話
ではないらしいと分かり娘さんのためにほっとしたが(笑)、なぜこれが名作
なのかはさっぱり分からず。「来年の今月今夜!」と金色夜叉になり、娘さん
に復讐していただきたかった。まあいいや、寝よう。
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