■ Re: The CONCACAF Olympic Qualifying Tournament (Part 005.00)
From: Tomo Sakata (sprynet.com)
Date: 21 May 1996 08:53:35 GMT
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  ■□ サカタ@カナダとりあえず一息です

  CONCACAF オリンピックサッカー予選第5戦
    ┏━━━━━━━━━━┓
    ┃ カナダ対メキシコ ┃	(May 19, 1996 - PST)
    ┗━━━━━━━━━━┛

  さてさて、カナダ対メキシコです。またしてもホッケーの延長で前半が
 20 分以上もカットされてて頭にくるな......おお、客が入ってる! トー
 ナメントで初めて客が入っていますよ (笑)! メキシコは自信満々、カナ
 ダDFと1対3になってもドリブルで抜いて行こうという勢いですね。し
 かしカナダも特にディフェンシブにならずに果敢に攻めています。これは
 身長差を生かしての得点も期待できるんじゃないかしら。

  メキシコはアウトサイドキックを多用してのきれいなパスワークでカナ
 ダディフェンスを切り崩そうとしてるのですが、基本的にグラウンドが凸
 凹なので、スルーパスの鋭さが殺されているように見えます。それにカナ
 ダはいいときの出足の速さが今日は発揮されていて、裏に出されたパスに
 もなんとか対応していますし、唯一の長所・全力疾走インターセプトも小
 気味良く決まっています。問題はカナダが、スペースを消されている中盤
 からどうやって有効に前へ持って行けるかに尽きますね。

  うわーカナダのヘッド! 惜しい! DFにカットされましたが、いいタ
 イミングだった。......ふーむ、これはメキシコチームがこの程度なら、
 いけるんじゃないでしょうか。メキシコは、一人一人はまあうまくて速い
 のですが、どうもコンビネーションの悪さが目につきます。選手のイメー
 ジの中では超一流のチームのような1―2壁パスが決まってるのですが、
 実際のパス精度がそこまでは高くないという印象。「スーパースターのブ
 ランコとボンデスは、イエローを増やさないためにこの試合はベンチに座っ
 ている」んだそうです。そうなのか。だったら彼らが出て来ざるをえない
 ようにしてやれ、カナダ (^_^)!

  メキシコのドリブル突破がいまひとつ決まらないのを見ていると、やは
 り日本のカズなんかと同じ大きな相手に対する弱みが見えます。小刻みな
 ドリブルで体勢的にDFを抜いても、相手が大きいので伸ばした脚がボール
 まで届いてしまい、結局ボールコントロールを失ってしまう。やはりドリブ
 ルはスピードに乗せてずいずいっと行かないと駄目なんじゃないでしょうか。

  カナダはやはり長い縦パスが中心の攻撃ですが、長いだけじゃなくてボー
 ルを持ったらすぐに、強く打とうという意識が見えます。たとえミスが増
 えても、出すパスの強さとタイミングの早さでチャンスを生み出すしかな
 いというコーチの考えなのかもしれません。「カモン、ハーフまでもう時
 間がないぞボーイズ!」───コーチが叫んでいます。かっこいい (^_^)。

  メキシコのうまい突破からシュートがあってひやりとしましたが、その
 まま両者無得点で前半終了。よし。間違いでカナダが先取点を取れちゃっ
 たりすれば、相手が熱くなってチャンスがあるやも。

    ----------------------
  カナダの TV はえらくおおらかで、解説者がハーフタイムにグラウンド
 に降りていきなりカナダの監督にインタビューをしています。

 「0―0でうれしいんじゃない?」
 「はっは、そりゃうれしいさ。どうなることかと思ってたからね。」
 「後半はどうするの?」
 「このままで行けばいいと思う、もっと忍耐が必要だけどね」

  にこやかに答えているのもお国柄か (^_^)。しかし忍耐とは何を指して
 いってるのだろう、そのへんが今一つ分からないんですけど監督 (^_^;)。

    ----------------------
  後半。どちらのチームも変わりなく精力的に走っています。しかし次第
 にメキシコのパスワークが冴えてチャンスが増えて来ました。カナダも変
 わらず頑張ってはいるのですが、メキシコのうまみがだんだん出てきたと
 いう感じ。自陣ゴール前からカナダのゴール前までゆっくり時間をかけて、
 完璧なパスまわしで持って行ったりして、見せてくれます。そして選手の
 体の使いかたがうまくバランスがよくて、コンタクトがあってもやたらに
 転ばないのが気持ちいいですね。

  15 分・カナダが必死のドリブル突破からフリーキックを得ます。こぼれ
 球を狙え。───あー、長すぎた。しかしこの、抜こう・シュートを打と
 うという気持ちがないとカナダは、いつまで経っても点が取れないでしょ
 う。直後、メキシコがコーナーからドンピシャのヘッド! キーパーのセー
 ブ! すごい。今のは入っていても全く仕方がないほどのシュートでした、
 よく止めてくれたぞ、カナダのお前さん。

  その数分後・メキシコが中盤からドリブルで上がり、スルーパスからま
 たもやシュート。キーパーはよく反応したのですが、ああ、こぼれたとこ
 ろをもう一人がきちんと狙っていました。0―1。いま中盤からPKエリ
 アまで一瞬カナダDF全員が立ち見していたなあ。集中を切らしちゃだめ
 だー、ここまでちゃんと追いかけていたのにさー (;_;)。メキシコの組み
 立てはうまかったけれど、きちんとマークしていれば打たれなかったのに。
 しかし、そういう切れる瞬間があるのもまた、弱いチームということなん
 でしょうね。

    ----------------------
  カナダがFWを一枚増やします。そう、負けてもなにも変わりはないの
 だから攻めまくれ。カナダフリーキックからシュート! あー、DFに当たっ
 てしまいました。今のは惜しかったが相手DFの反応の早さを誉めるしか
 ない。もう一度スローインからシュート、ゴールをはるかに超えて行く。
 それでいいのだ、攻めてくれ。

  最後の十数分、メキシコはクルージングスピードで試合を進めています。
 カナダがつけるとしたらその余裕から来る油断だけなのですが、いかんせ
 ん技術が足りません。メキシコのプレスがうまくて短いパスでは囲まれて
 しまうし、長いパスは受けるポストプレーヤーのファーストタッチが悪す
 ぎ、コントロールしようとしている間にDFに距離を詰められ、どちらに
 せよ攻撃に結び付けられず。インターセプトをしても、そのボールをフィ
 ニッシュにまで全く持っていけないのです。強いパス作戦も結局実りのな
 いまま終わってしまいそう。あと5分。負けてもいいからこの強敵相手に
 点を取って希望をつないでおきたいのですが。

  カナダのサイドバックがDFを抜いた! ゴール前にFWは二人、センタ
 リングを上げろ! あー、ぽわ〜んと中途半端なボール。それはシュートだっ
 たのか、それともパスだったのかね君 (=_=)。どうもこういう煮え切らな
 い攻撃が多いチームなんですハイ、カナダ U-23。最後はカナダ選手全員が
 攻撃にあがったりしましたが、そんなじれったさをとうとうどうにもでき
 ず、試合は終わってしまいました。

   ┌──────────────────────────┐
   │5/19 エルサルバドル - コスタリカ		  1-4    │
   │5/19 カナダ - メキシコ			  0-1    │
   │5/19 ジャマイカ - トリニダドアンドトバゴ	  3-2    │
   ├──────────────────────────┤
   │           Game1  2  3  4  5  | Pt Scr   │
   │1    Mexico         3  3  3  3  3  | 15 +10   │
   │2    Canada         3  1  3  1  0  | 8  +4    │
   │3    Costa Rica       3  0  0  1  3  | 7  +2    │
   │4    Jamaica         0  0  3  0  3  | 6  -4    │
   │5    Trinidad & Tobago    0  1  0  3  0  | 4  -4    │
   │6    El Salvador       0  3  0  0  0  | 3  -7    │
   └──────────────────────────┘

  エルサルバドルが予想されたとおり大敗し、ジャマイカが当初の極寒手
 足かじかみ日々以外は活躍して、上記のような結果になりました。まあカ
 ナダもメキシコ相手に CONCACAF 2位にふさわしい締まったクリーンな試
 合をしてはくれたのですが、なにしろ得点力が。

  【プレーオフ】
    5/26 カナダ - オーストラリア
    6/2  オーストラリア - カナダ

  週末にオーストラリアが USA U-23 とフレンドリーを戦って 2-0 で勝っ
 たらしいのですが、カナダと USA は U-23 レベルならば同等だと思われる
 ので、やはりこのままでは苦戦必至ですね。まあ、今日の試合でも「いつ
 もより強めに打っております」という感じで新たなトライをしている成長
 途上のチームですから、5日しか間がないという強烈に厳しいスケジュー
 ルですが、どうにか点を取るパターンを見つけてほしいものです。......
 待てよ......あそうか、オーストラリアはすでに北米入りして試合に備え
 てるのだ、ううなんかこんなこっちはトーナメントの直後で向こうは鋭意
 調整中だなんて、なんだか日程的にも不利なような気が......(^_^;)。

  まあともかく2試合の短気決戦ですから、何が起こるかは神のみぞ知る
 ということで、まことにふつつかながらお祝いの言葉に替えさせていただ
 きたいと思います。
 ┌───┐
 │サカタ│
 └───┘
 ...Tomohisa Sakata (Vancouver, CA)
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