【Journal】今頃になってコンフェデ杯を見る


■ 02/02/26(火) 13:47:30 □ ついに「トー」と呼び始め
 萌がついに俺の名前を覚え、写真を見て「トー」と呼び始めた。ほっ。
■ 02/02/28(木) 13:25:08 □ 親のコミュニケーション
 午後萌を公園に連れて行く。なんかあそこに行くといつもそうなのだが、大 きい子供たちがワイルドすぎて、萌たちトッドラー(よちよち歩きの子供)は 安全に遊びにくい。今日は砂場で砂をかけられて困ったのだった。それにMも 言うのだが、あの公園だと親同士がなぜかあまりコミュニケートしないんだよ な。なんでなんだろう。日本でも今時のお母さんたちはこんな感じなんだろう か。まあうちの近所の小さな公園で会ったJSとそのお母さんなんかは感じよ かったのだが。 ----------------------  母さんに電話した。近況を聞くと、正月に亡くなったおばあちゃんの49日 が終わって落ち着いたが、「自分が一族の長(オサ)だと思うとなんか面白く ないのよね。次は自分だなってどうしても考えちゃうのよ」などといっていた。 まあそんな体も頭も丈夫なんだからそんなこと考えなさんな、春なんだしと言 うしかなし。  店の方は、狂牛病の影響の最悪期は過ぎたらしい。お客さんもボチボチ戻っ てきたし、なんとかなりそうだよとのこと。ほっ。
■ 02/03/01(金) 10:18:57 □ ちょっと風が冷たいが春の陽射し
 萌がタッタッタッタと廊下を走る音で目が覚める。Mが外に出る時間がない というので、コーヒーとモバギアを持ってデッキに萌を連れ出してやった。ま だちょっと風が冷たいが春の陽射し。  天気がよくなったせいもあって毎日萌と遊ぶのが楽しい。外に連れて出ても 楽しいし、家で遊んでいても楽しい。夕方こちらがやりたいことがあるときに まとわりつかれると「うーもおおお」という気もするけれど、結局は負けて遊 んでやってしまう。  俺の名前を覚えた萌は一日中、「トータン、トータン」と俺を指差し呼んで いた。自分がいろんなものの名前を知っているということに気がついて、大き なスリルを感じており、それを確認しているのである。絵本やひらがなパネル も1人で眺めて「メガネ」などとつぶやいている。TVの歌も、語尾だけなん とか捉えて一緒に歌おうとしている。えらいなあお前と抱きしめてしまうので あった。本当にプレシャス。
■ 02/03/09(土) 14:03:27 □ ダウンタウン・ラン
 MKのサーバーをメンテナンスするために、ダウンタウンのサーバーストレー ジ屋に行く。道中ブレーキがうるさくて参った。前から鳴きはあったのだが、 これはもう踏み加減で抑えるとかいうレベルではない。パッド交換か、ローター 研磨しないといよいよ駄目か。気がつけばもう購入後 5000km を経過している ことだし、来週に整備を考えよう。巨大なサーバーが後ろに載っていたので、 カーブのたびにガタガタと大変だったが、久々の遠乗りは楽しかった。  帰ってからブレーキを見てみたが、パッドはまだ半分くらい残ってるようで、 ローター研磨しかなさそう。うーむ。まあいずれは研磨をやるつもりだったの だから仕方がないか。 ----------------------  萌がクリスマスにもらったベイビー人形の世話を焼き始めた。うーん、この 母性というのは天性のものなのね。あの人形はリアルすぎて非常に不気味なも ので(やっぱり「かわいい」という概念が日本カナダでどえらく違う・笑)、 できれば押し入れの奥深くに埋没していてほしかったのだが、萌が気に入って しまったらどうしようもない。
■ 02/03/11(月) 13:10:02 □ 家計の不安
 Mが家計の計算をして、貯金が厳しいという。ええそんなに使ってるのかと あわててバンクアカウントを 2000-2001 とダウンロードして計算してみると、 家賃を払ってないのにやはり 2001 以降の方が出費が大きい。家を持つという ことはお金がかかることなのだ。とほほ。まあ保険とか庭の手入れなどの一時 出費が一番大きいので、今後抑えていく事は不可能ではないが。  WCの時機に日本に行きたい気持ちはヤマヤマなのだが、お金とMの研究ス ケジュールと飛行機での萌の消耗を考えるとつらいなあと思う。とほほ。とり あえずMのトロント学会派遣は確定してしまった。ますます5月末のスケジュー ルがタイトになる。  さらにBCの教育予算がカットされ、大学院を終えても教職は見つからない だろうとMは嘆く。Mは久々に高校で教えることを考えていたらしいのだが、 今や資格と経験から超高給級のティーチャーとなってしまい、おかげで雇用が ないのだという。前にも「大学院を出たばっかりに仕事がない」という話を聞 いたことがあるが、高資格者が低賃金で働くのは雇用側の搾取であるとユニオ ンが見なすため、Mクラスになると賃金的に雇える学校がないのだ。カナダ理 想主義が生むジレンマといえよう。ああ。
■ 02/03/20(水) 13:56:48 □ ブレーキに大問題
 晴れたのでオイル交換をやってしまおうと修理屋 Midas に行く。ブレーキ にジャダーと泣きがあるんだけどというと、修理が必要かどうかちゃんとテス トドライブしてくれた。皆手抜きせずよく働く。シビック時代もこの貧乏人の 味方 Midas の仕事にはけっこう感心させられていたので、大手チェーンなが らひいきにしたい店だ。  目の前でレガシィがリフトアップされている。下から眺めてみると、リアサ スペンションのアームの取り回しなど複雑かつ美しく、安い車とは違うなあと 思う。-------おー、ローターの厚みをノギスで計っている。そこまでまじめ にやってくれるとは感激。そうか、厚みにばらつきがあるかどうかで研磨する かどうかを決めるわけだ。 ----------------------  その診断結果が出る。ショック。ブレーキシステムに大問題が発見されてし まった。フロントのブレーキシステム全交換が必要だという(ローター、パッ ド、キャリパー+リアのローター研磨)。見るとキャリパーが固着していて、 フロートしていないのだ。これは危険だよと言われる。またそれが原因ではな いが、ローターも研磨不能にまで減っているという。予想外の大出費となった。  一瞬呆然としたが、燃費が今一つ伸びないのはやはりブレーキに引き摺りが あったためかとわりあい即座に頭が切り替わった。ローター&パッドの交換ま では購入直後に必要かもしれないと気付き、ネットでリサーチして覚悟してい たことであり、もともと研磨で済めばラッキーという状態だったのである。聞 けばキャリパの不調も距離によるノーマルな消耗だろうとのことで、致し方な いかと思える。Mに電話して、ゴーサインを出した。ふー。  しかしリッチモンドスバルは不調は把握していたのだろうな。試乗時は不具 合は感じなかったのでブレーキ回りのクリーニングくらいはやったのかもしれ ないが、それから 5000km 走って問題が限界に達したのだろう。最初からあの 店は信頼しておらず整備を頼む気もなかったので、腹は立つが驚きはない。あ のセールス兄ちゃんも売ること以外には誠意は感じなかったし、オヤジはもう 香港映画の小悪党にしか見えなかったからなあ(笑)。ああしかしやはり、こ の出費は痛し.....。 ----------------------  BVと子供たちが来訪。萌はこの頃なにか虫の居所が悪い傾向で、ちょっと したことですぐにベソをかいたりしていたのだが、今日はボーイズに囲まれて ご機嫌だった。彼女は皆に愛されているなあと思う。彼らがはるばる1時間か けてもこうしてしょっちゅう遊びに来たがるくらい、萌にはチャームがあるの だ。「萌! 萌! モー!」という子供らの声を聞いていて、萌というのはい い名前だったなと思う。純和名なのに、誰にでも呼べるのだ。
■ 02/03/22(金) 17:17:05 □ New Westminster
 車の修理に続きウォータータンクの交換が必要になる。とほほ。交換システ ムを調べに New West に行く。ポカポカの春の陽射しでなかなか悪くないドラ イブだったのだが、行ったところはショールームといいながら1種類しか置い てなく意味なし。NewWest ダウンタウンは面白かったが。恐ろしい風体の人々 も多いが、古い港町らしく面白いのだ。  どうせ交換するなら熱効率のよい省エネにするつもりだったのだが、日本式 のオンデマンド型を扱っているところはほとんどなく、省エネ型のタンク式と いうのもうちのような古い家にはつかないのだと判明。説明してくれたおっちゃ んは「たいして変わりはないよ、差額償却ができる前にタンクの寿命が来ちま うよ」と省エネ型を売る気もなさそうだった。結局今のと同じのにするしかな いらしい。  そのタンクは本当に、30 年間なんの仕様変更も行われていない様子の古臭 いものであった。その代わりに猛烈に安いのだが、ガス会社が毎年新省エネ型 を作り、CMを打って販売している日本とはえらい違いである。日本は本当に 技術立国だ。省エネと環境技術でこの先世界をリードしてもらいたい。
■ 02/03/25(月) 13:58:06 □ 萌の言語 development
 花曇りの週はじめ。萌の世話に加えてなにかしたかったのだが、結局萌と庭 で遊んでやっているうちに夕方になってしまった。萌はすごい勢いで言葉を学 んでいる。俺もできるだけ日本語の言葉を教えてやっているのだが、やっぱり MとMKの二人組&TVのある英語には量的にとうてい太刀打ちできない状態。 英単語3つ覚える合間に日本語1つ行ければよい方という案配。  それにやっぱり日本語は、教えるとなると難しい。「ドア」は音で覚えられ るけど「戸」は音的に抽象的すぎるのである。これは誰がなんといおうと間違 いない。  俺にできるのは日本語の言葉にもできるだけ抑揚をつけてやることで、「ほ ん」→「ホ〜ン!」「りんご」→「りんご〜!」などと繰り返している。これ で英語の量にいずれ追いつけるのだろうかと不安になるときもあるのだが、英 単語は大量に日本語にもなっているのが救いだ。ジュース、チェア、クレヨン、 ビデオ、その他いろいろ。大切なのは要はコミュニケーションだと思えば、英 語で覚えたそうした言葉だって日本語会話の役には立つのである。  夕飯、BRにもらった豆にグリコカレーを加えて絶品のビーンカレーを楽し む。日本の調味料は偉大なり。
■ 02/03/29(金) 13:38:55 □ WCへの気持ちが盛り上がってくる
 1年半ぶりに読んだ Number に驚くほど質のよい記事がたくさん詰まってい た。Number はレギュラーである躁病杉山茂樹と陰気な戸塚啓、そして常に怒 りの対象を間違えている永井洋一といった面々がことごとく駄目なので読むの をやめてしまったのだが、身障者スポーツライターとして有名になったらしい 乙武洋匡という人のインタビューシリーズはなかなかいい(引き出そうとする ドラマが安易だけどクロウトくささがないのが好感)し、外国ライターのもの も翻訳を含めてやっぱり楽しい。  イタリーの記者が集めた、中田に対するセリエAのスターたちのコメント集 には心底驚いてしまった。あの鼻持ちならなそうなインザーギを始め、シード ルフ、マルディーニ、アルベルティーニなどの大々有名人が試合中中田をじっ と観察しているのである。痛い目に遭っているユベントスの選手だけでなく、 ミラン、インテルの選手たちもこんなに中田を見ていたのか。こうしたスター たちが気さくに人を誉めること、観察を語れる言葉を持っていることにも感心 してしまった。やっぱり見る人が見れば分かるんだなあ。  一気に1年半分を読んで、WCへの気持ちが盛り上がってくる。Pさんが調 べてくれたところによると、カナダでもTV放送は十分にある模様。助かった。 日本に行けず、TVも見れずでは泣きたくなるところだった。 ┏━━━━━━━━━━━━┓  ┃コンフェデ杯カメルーン戦┃ ┗━━━━━━━━━━━━┛  WC熱が上がってきたところで、こないだ送ってもらったテープの1年前の コンフェデ杯カメルーン戦を見る。この試合の日本はいい出来で、中田がどこ にいるのか分からないほどチームが有機的に動いている。よほどカメルーンと 手が合ったのだろう。鈴木が素晴らしい、韓国ネット中継で見たこの先制ゴー ルもすごかったし、西澤よりも圧倒的にプレーに切れがある。技術は西澤の方 がうまいだろうが、鈴木は走る力と鋼鉄の意志でプレイに絡む頻度が段違いな のだ。  35 分、技術で優るカメルーンが攻めにかかるが、組織で大きく上回る日本 が最後は攻撃を壊しボールを奪うという展開が続いている。明神がサイドに入っ ていると守備の安定感が非常に高い。攻撃力は物足りないが。ただ日本も攻め 手なし。鈴木がポストで頑張るのみ。鈴木は本当にいい。鈴木と高原がいたら、 西澤は必要ないと思う。  ハーフタイム、なんとベンゲル監督がスタジオにおる。どわー。そしてジョ ンカビラという例の熱血サポーターが英語ぺらぺらで(イタリア系なのかと思っ ていた)、ベンゲル監督にうまくインタビューをしていた。実際のところTV の限られた時間では意味深い話など聞けないのだが(西澤が物足りないのでは ないかなどと聞いてくれたら面白かった)、簡単な質問を投げかけ、ベンゲル 氏が答える言葉をTVの一般視聴者向けに実にうまく意訳していて、ジョンカ ビラ氏の通訳能力は俺など及びもつかないほど高いのであった。  後半、鈴木の切れはまだ止まらない。そして中山が入ってチームのプレスが また一段上がり、カメルーンのパス回しは苦しくなる一方。日本だってこれだ けプレスをかけたらめちゃしんどいはずだが、ボールを奪える間は体が限界を 超えても動くのだろう。これは確かに、日本代表史上最高のチームパフォーマ ンスだなあ。このチーム力をそのまま今年も発揮でき、中田がベストな体調で シーズンを終えてきてくれれば、素晴らしいWCになるだろう。コンフェデ杯 は実際今にして思えばありがたいリハーサルで、幾人かの怪我人があることを 除けば同じ季節の同じスタジアム。このパフォーマンスを今年発揮できない理 由はなにもないのである。
■ 02/04/01(月) 13:28:54 □ レガシィ DIY 修理
 昨夜 AT シフトインジケータ内のランプが切れていることに気付き、萌を寝 かせてから検証する。よくよく見ればサイドのカバーから縦へ一気に、ずいーっ とはずれるようになっていて、それに気がついてからはロジカルに一気に分解 できた。電気スイッチが入っていそうなシフトノブをはずすときは緊張したが、 まあこのノブを自力で交換するユーザーは多いのだからはずしただけで大災害 になることはあるまいと論理的に帰結してはずす。と、すぽっとはずれ内部は メカニカルスイッチになっていた。なるほどこういう仕組みなのかと納得しつ つ、やっと見つけたぜライトバルブ。やっぱり切れていた。球を買ってきて交 換に成功。これだけでも修理屋に持っていけば数十ドルの修理だろうから、自 力でできて満足なり。  とても暖かな春の日、萌と庭で長いこと遊んだ。1時を過ぎても2時になっ ても萌は昼寝してくれず、あきらめてサッカー場へ連れていって遊んでやった。 戻ってからさらに裏通りを歩き、さらに庭で遊んでやっと気が済み、遅いラン チを食べて3時半に寝た。まあこれだけ天候が良くなると、外で遊びたくて仕 方がないのだろう。 ┏━━━━━━━━━━━━━━┓  ┃コンフェデ杯オーストラリア戦┃ ┗━━━━━━━━━━━━━━┛  コンフェデ杯オーストラリア戦。あー、また西澤がいる。この大会は高原と 柳沢がいなかったのだっけ? ベンチにいるのは久保と山下と中山か。ブラジ ル戦で久保を試すべきだったなあ。序盤はどちらも慎重にゲームを進めている。 しかしすごい雨。ハードなコンタクトと中盤でのていねいなつなぎ、そして最 後はヘッドへどーんというプレイスタイルの豪の方が、やや優勢になりかけて いる。  鈴木がしつこくしつこくボールを奪いに行っている。この大会日本は常に鈴 木の走りからペースを掴んでいる。最後には相手DFとやりあって退場になっ たのだが、この妄執といっても過言ではないようなしつこさに恐れ入る。中山 も同じだけ走るが、相手を削ってまで嫌がらせるような性格の悪さは中山には ないだろう。Jリーグのプレイヤーとしてはフェアな方が好ましいけれど、強 敵相手のWCでどちらがより役立つかは明白だ。西澤という選手はまったく逆 で、無我になることがとことんできないんだろうな。ボール際でのプレイに、 いつも物足りなさを感じさせる。ファイトしていないとチームからはずされた 3年前から、そこはなにも変わっていない。  中田のコンディションがいい。押されてつぶされ転びながらもスルーを決め ている。豪はファンブルを期待してかミドルシュートを打ち始めた。日本はゴー ル前でも細かくつなぐところに持ち味があるので、なかなかフィニッシュに持っ ていけない展開。ハトがいい守備をしている。  豪が日本のオフサイドトラップをかいくぐって大きなチャンスを作る。危な い。返す刀で鈴木がポポビッチ(再三鈴木と絡んでいたDF)からFKを奪い、 これを中田が決めて前半終了。これは鈴木のゴールといってもいい点であった。 ネットで生実況を読んでいたときには日本が完全に押し込まれていてこの一発 で助かったという印象だったのだが、ここまで見たところ力押しに苦しんだと いうだけで、日本の方が実力は上だなと思う。豪は大レギュラーが2人来てい ないわけだが、彼らがフィットしてチーム力が上がるかどうかは分からないま まWC予選も負けてしまったわけだし。  後半、日本は落ち着いて、かつチャンスがあればカウンターという姿勢でゲー ムを進める。ここで鈴木が退場。日本はFWのプレスが効かないと守備が弱く なるので、防戦一方になる。が中田がここから切れまくり、1人でどんどんカ ウンター攻撃を繰り広げている。すんげー、ペルージャ時代みたい。  残り 10 分、森島が入る。うーん、こういうゲームも面白いなあ。森島フリー のシュートを2本はずす! どちらかを決めていたらゲームは決まったのにな あ。逃げ切れたからいいが、追いつかれていたらあれは悔やまれるシーンだっ た。 ┏━━━━━━━━━━━┓  ┃コンフェデ杯フランス戦┃ ┗━━━━━━━━━━━┛  我慢できず続けて寝ないでフランス戦観戦。あー、西澤の1トップ。彼が下 がってきて後ろにボールをはたくプレーしかイメージできない。序盤、日本が キープをして、なにか攻撃の糸口が掴めないかと伺っている。小野から森島で 1つチャンスを作れた。このメンバーだとこれしかない。  小野がなかなか楽しい。この大会を通じて小野は無理をしないシンプルなプ レーに徹しているのだが(そういうプレースタイルになったのかもしれない)、 対面のカランブーには絶対にボールを奪われないという自信に満ちてボールを 持っているのが頼もしい。だからボールをもらおうと皆が走ることができ、押 し込まれずに済んでいる。速さがないのでカランブーを抜くことはできないの だが、抜かなくてもふっと相手を交わしてラストパスを出せるところがいい。  フランスはでかくてうまいなあと改めて思うが(稲本のライバルであるビエ イラなんてものすごい体)、春に当たったときとは違い日本はきちんと守りき ちんと攻めている。がこれはフランスの攻めが割合にあっさりしてるからで、 もう少し怒涛の攻めをしてきたら日本の最終ラインが乱れそうな気配がある。 やはり中盤のパスの出所を抑える以外、日本にできることはない。このゲーム は1トップだが稲本が森島の背後くらいにいて前目の守備をやってバランスを 取っているようだ。  そして縦パスぽーんを処理ミスして失点。FWが戻ったのと同時にビエイラ が飛び出してDFラインの裏をうまく取ったため、松田とビエイラの身体能力 勝負になってしまった。あのポーンをちゃんとヘッドでミートしてしまうビエ イラの能力が松田とGKの予想を上回っていたのだろう。  労せずして点を取ったフランスは、より落ち着いてしまいどっしりと守る。 日本は前へボールを運ぶ方法がない。カウンターしか手はないのだが、ボール を奪えるのはゴールエリア付近なので、そこからサテ..と攻撃を組み立てよう としてももうフランスの8人の網がきれいに整ってしまう。ドリブルでもパス でも抜けられない。うーむ。出ている日本選手は皆臆せずできる限りをやって いるので、ここからどう崩していったらいいのか思案に困る。もっと前でボー ルを奪えないととりあえずどうにもならない。2トップ2ボランチに変えて前 の守備を熱くするしかないだろう。 ----------------------  後半、三浦が入る。あー三浦かー、とほほ。三浦は予測通り、左に突破でき ず右に切り返して網にはまりボールを取られるという、毎度おなじみのプレー に終始。彼は足は速いだろうにタイミングが悪いので、相手の裏を取ることが できないのだ。「三浦はカランブーを抜ける」などと解説は言っているが、こ れまで成功してないことをこの相手でやれといわれても無理。  フランスは「このくらいの調子で怠らずにコツコツやれば今日は勝てる」と 地味なゲームをしている。おかげで日本は押し込まれずにやれているのだが (川口が活躍せずに済んでいる)、1点返して必死にさせたかったなあ。せっ かくの決勝なのにだるいゲームになってしまっている。0-1 よりは 1-2 のゲー ムを見たかった。  15 分、小野に替わって久保。うーん。そういえばここまで 15 分、小野は トップ下に入ってからほとんどボールに触れなかった。フランスの中盤がよす ぎて誰もトップ下に有効なボールを送れないし、小野自身もスペースを自分で ゲットするために走るような動きがまだできないのかもしれない。よってフラ ンス相手に中盤でゲームを作ろうとしても無理だというトルシエの判断か。し かしここで久保を使う可能性があるのだったら、ブラジル戦で1試合きっちり 試してあらかじめ自信をつけさせてやってほしかった。なにしろ久保は代表の ゲームでまともに1試合やったことがないのだから。準決勝まではトルシエの 采配は完璧だったのだが、ユース大会、オリンピック同様負けているゲームで は曖昧になるなあと思う。  西澤に替わり中山。中山と久保というのは実は面白いペアだ。西澤にないも のをこの2人は両方とも持っている。ほとんど止まってしまったこのゲームを 動かせる気配がある。鈴木がサスペンドになった時点で、西澤ではなくこの2 人の2トップに懸けてほしかった。  中山の飛び出しでCKを得、日本が最後のトライを開始する。中山と久保の コンビネーションからあと一歩で森島のシュートというところまで行けた。惜 しい。さらに久保がポストし中山が横にはたいて森島、もう一度久保から森島 へ。惜しい。やはり中山はいい。とにかくゴールに近づくんだ、なにかが起き るのはそこなんだという気迫が動きから発散されており、それが相手DFを緊 張させ味方の脚を動かしている。西澤にはとにかくこういうところがまったく ない。だから能力がありながら海外に行ってもチームメイトに信頼されないの だろう。久保もよかった。広島ファンとトルシエがなぜ期待するのか、よく分 かった。トルシエも「西澤がなぜイングランドでスタメンを取れないのかがよ くわかった」とこの後のセネガル戦後に言っているのだが、それでも使い続け るのはなぜなのだろう。  そして試合終了。フランスの喜び方も、日本の口惜しがり方も、試合内容と 同様の穏やかさだった。日本が1点取れてさえいれば、なあ.....。それはW C本大会でのお楽しみか。

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