【日記】プロジェクトXのようだったユーロファイナル


熱きクロアチアの血潮
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■.04/06/17(木) 09:33:19 □ コキットラム川
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 ものすごい好天で、Mがバスで出たので車がある。レイクに行くべきか。だ
が昨夜Mがベッドに来るまで徹底的にダダをこねて寝なかったせいで萌が疲れ
ており、ハナミズもまだ残り、俺もまだ腹を立てている。どうすべきか。

 結局萌がウダウダしているので Coquitlam リバーだけにしておいた。が川
まで降りてみてびっくり、去年と全然様相が違う。あちらこちらに巨大な流木
が引っかかっている。秋冬の大雨で大水になっていたのだ。3m近く水位が上
がった跡が残っている。やっぱり川は怖いなあ。そして去年遊んだ砂と砂利の
ビーチは完全に流されてしまっていた。がっくし。あれはたまたまシーズンの
ものだったのね。

 まあそれでも萌はハッピーだったので、日陰にシートをしいて2時間ほど水
遊びを楽しんだ。萌は「私のおうち(萌と俺が見つけた木陰のシェルター)も
なくなっちゃったねえ」と去年のことをはっきりと覚えている。このクリアな
記憶はいつまで残るのだろう。俺は3歳のときのことなんて全然覚えてないぜ。
幼稚園からは断片的に記憶があるけれど、萌は今のところほとんどあらゆるこ
とを記憶している。

 1時に疲れてきたので家に戻ったが、帰路はとんでもない猛暑になっていた。
ふいー。

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 夕方、どうせもうボバンもシューケルもいないからなと、家事にかまけて見
過ごそうとしていた【フランス・クロアチア】戦の録画放送をPさんに見ろと
言われてあわてて見ると、むちゃくちゃ面白かった。なつかしいラパイッチが
ドタバタと走り回って活躍している。美しく速いパスをぴっぴっと回し、ずばっ
と抜け出すウィングへの糸を引くようなスルーパスというサッカーをクロアチ
アは存分に楽しませてくれた。最後はフランスが追いついたがあれはトレセゲ
のハンドだったので(―――故意じゃなくても手でクリアボールを止めてGK
を抜いたからシュートできたわけで、あれがOKならあの手に当たったボール
が直接ゴールに転がりこんでいてもゴールだったのかねということになる――
―)、本当はクロアチアの勝ちである。よく頑張った。

 しかしなんでこういう楽しいサッカーができないのだろうか、本命のフラン
スやイタリーらは。いくらなんでも2試合めくらいからはもうちょっと本領を
発揮してもらいたい。イングランドだけは小細工なしのストロングスタイルで
好調に戦っているけれど。スイス戦ではすでに相手があきらめていたのかもし
れないが、あわてずさわがず間を詰めてボールを奪い、スローな展開からぴゅっ
と一瞬の間合いで点を取るという余裕のサッカーをやっていた。

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 晩飯後まだ遊び足りない萌が外に出て所在無げにしているので、プレイグラ
ウンドまで自転車で自走させて遊び、さらに自転車を見せに再度Lちゃんちを
お訪ねしてみた。今回は皆がいてくれて、わーっと大騒ぎになって遊んだ。う
ちの近所の子らと違って、歓迎してくれるから萌はうれしくて仕方がない。ど
うしてこんなに違うのかなあ、日本とカナダの子供文化差なのかしら。Pさん
のところも、行けば子供たちが萌と遊んでくれるもんなあ。近所ガールのKT
なんかははっきりと、「笑顔を見せるとあたしの負けだわ」と思っているので
ある。クールであることを望むガキっぽさがある。いやほんと、ご近所であり
がたいLちゃんご一家。

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■.04/06/19(土) 10:42:10 □ 熱きクロアチアの血潮
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 タイミングが合わず今日はどこへも出かけず。昨日 TV で見たカタクリ粉ジェ
りーなどを作って遊ぶ。自分一人で出掛けて足したい用事はたくさんあるが、
Mのマーキングが終わるまではいかんともしがたし。

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 親子三人でダラダラしてから、夕方萌をプレイグラウンドに出かけていくと、
赤白のシャツを着たボーイズがやってきた。「おー! それはクロアチアのシャ
ツかい?」と声をかけると、そうさと顔が輝く。「フランスの2点目はハンド
だったよな!」と俺が切り出すと、「そうなんだ、俺たちは勝ってたのに、フェ
アじゃないよ!」と一発で大盛り上がってしまった。移民の子は皆そうなのだ
が、カナダで生まれ育ったくせに親のホームチームを「my team」というのが
おかしい。「俺はさ、ボバンとプロシネツキとシューケルがいた WC 98 の君
らのチームの大ファンだったんだよ。君らは小さくて知らんかな」「もちろん
知ってるよ」「今年のチームの選手の名前は分からないけど、やっぱりいいチー
ムだね」「そうさうちはイングランドだって敗れるさ!」

 てな具合に熱きクロアチアの血潮が大いに燃え上がり、公園のゴールを使っ
てサッカーが始まってしまった。俺もやめときゃいいのに熱きクロアチアの血
潮に突き動かされて張り切って走り、楽しかったのだが走りすぎて疲れて気分
が悪くなってしまった。萌はその間ボーイズのクロアチアばあちゃんのところ
へ行って話をして楽しんでいた。萌はばあちゃんが好きなのである、ばあちゃ
んたちはヒマなので必ず萌と話をしてくれるから。

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 【オランダvsチェコ】はすごかった。オランダが持てる圧倒的な攻撃力を
ついに見せてガタガタとチェコを崩して2点を力づくでもぎ取り、そこからチェ
コが立て直して3つの美しいゴールで破るというすごいゲーム。チェコの2点
目と3点目は、うっわーと声を挙げてしびれた。今期不調だったらしいネドベ
ドが復活している。あの恐るべきミドルがバーを叩いていた。すごい。

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■.04/06/20(日) 15:53:13 □ 幼稚園の運動会
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 猛暑の中幼稚園の運動会へ。ラジオ体操から始まり、ほんとに日本そのまま
の運動会だった。萌は勝手が分からないためかいつになく緊張しており、Mに泣
きついてしまったりしていたが、中盤から調子を取り戻す。幸い会場には日陰
もあり、終わったあとはゆっくりとピクニック。仲良しのERちゃんと遊んで
いて楽しかった。

 公園内には噴水大ウォーターパークがあって、ここは日陰がなく見守る俺は
かなりしんどかったのだが、萌がびしょびしょになるまで遊ばせてやった。ふー、
帰るともうぐったり疲れた。俺は。萌はヘーキ。

 さらに萌は隣家の孫KDと遊んだ。隣家で遊ぶのは萌は初めてだが、やっぱ
知ってる人だから大丈夫だった様子。そんなわけで一日を燃えるように突っ走っ
て萌はいつもより1時間半早く眠る。よしよし。ふー。

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【ポルトガル・スペイン】ポルトガル、すげー! 全員がジダンかというくら
い足にボールがひっついている。なんというパス回し。しかしシュートを打つ
奴がいない、Euro 2000 でスーパーだったヌーノゴメスはどうして出ないんだ
ろうと思っていると、後半出たそのゴメスがあのときとそっくりの見事なミド
ルでゴール。その後はスペインも押し返したが、ラウール不調のまま波に乗れ
ずおしまいであった。ほんとに今日のポルトガルはすごかった。あれだけ皆が
セカンドボール拾いにどわーっと走ってて、んで追いつくとそのボールが足に
ひっつくんだからまるで磁石である。これはこの後が楽しみ。



英語のキツさについて
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■.04/06/21(月) 10:26:02 □ クロアチア散る
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 【イングランド・クロアチア】クロアチア敗退。先制したクロアチアはボー
ルさばきの美しさではイングランドをしのいでいたが、英の緩急のうまさに歯
が立たなかったという感じ。前の試合のような美しいスルーは通す場所がなく、
点を取ったのはセットプレーからだった。英はトップフォームではなさそうな
ベッカムがシンプルなボール回しとDFで裏方に徹し、18歳のルーニーがさ
ほどのチャンスには見えないところからミドルでらくらくと点を取ってしまう
ように、なんかとことん落ち着きとメリハリのうまさを感じさせる。組織でボー
ルをじわじわと運び、そこから個人ロケットでビュッと点を取る手際が鮮やか
だ。こりゃこのままイングランドかなーという感じがする。穴がなくて、そし
てルーニーがいる。あとはイタリーが本当の力を出せるのか、チェコがネドベ
ドの力でどこまでいけるのか。

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 今日は夕方KT・SMと1週間余ぶりに萌が遊んだ。KT・SMが一緒にい
るときは、やっぱり難しい。鞭を使ったサーカスの猛獣使いごっこという趣味
の悪い遊びをやっていて、趣味が悪いからといってよその子の遊びを止めるこ
ともできないので遠めで見守っていたのだが、萌はサーカスなど見たことがな
いのでなにをやってるか全然分からない。

 で例によって虎になれだのなんだのと大声で指図され勝手が分からず困って
いるので、降りていってこれは萌には難しすぎるよ、俺と萌はサーカスの観客
になるよと割って入り萌を保護した。が、萌が俺に話しかけたり退屈して立ち
上がったりするとSMが鬼の形相で座って見てろと怒鳴るのである。「命令な
んかするなよ、俺たち観客は見ていて楽しかったら拍手するよ」てな穏便な言
い方をしても聞こえていない。そこで彼女が俺たちの目の前にきて限度を超え
た剣幕で怒鳴ってるところで、同じ顔と同じ声音を使い「Stop it! 君はこ
んな顔してこんな声で怒鳴ってるんだぜ、萌は怖がってるだろ!」とショック
を与え、やっと止めることができた。

 それでどうにか火の粉は振り払ったのだが、今日はSMが以前のごとく萌を
仲間はずれにしていたわけではなく、単に一緒に遊んでいただけなのにこれな
んだから弱る。あれはもうそういう性質なのだから、その場で即座に大声で止
めるしか対処法はない。萌がそんなことをできるわけもないしさせたくもない
ので、できるだけ俺が注意しているしかないのである。

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■.04/06/22(火) 10:09:19 □ 萌はじめてのデンタルチェック
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 萌は歯医者さんでまったく問題なかった。助手さんに歯を磨かれフロスをさ
れたのだが、フリークアウトせずしっかリと指示に従っていてえらいと思う。
虫歯はなし。俺は要治療箇所4箇所という診断で、4年前とさほど変わっては
おらず、痛くはないがいずれはやらんとなと気にしている八重歯以外は治療す
る必要もあまり感じないが、今回は保険でカバーされてるというのでやっても
らうことにした。

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 帰ってから見た【イタリー・ブルガリア】戦、PKによる 0-1 から死に物
狂いになったイタリーが追いつき、さらに攻め続けたのだがどうしてももう1
点が入らない。80 分が過ぎ、イタリーの足もさすがに止まり、90 分が過ぎる。
ああ.....と思っていると最後の最後の1プレーでついにカッサーノがウイニ
ングゴールを叩き込んだ。やったわ。やったわこいつら―――と思ったのだが
試合後誰も喜んでいない。―――あ! まさかと Web を見てみると、スウェー
デン・デンマークが 2-2 のドローだったのであった。そんなあ.....。やっと
必死のイタリーを見ることができたのに、ここでおしまいか。華麗ではないが、
同じく敗退のスペインと違い全員がとにかくボールを追い奪い戦うすばらしい
サッカーをやったのに。

 敗因はこれが最初からできなかったことに尽きるよなあ。「調子の悪いビエ
リより元気なディバイオを出しとけ」といった感想もあるが、それよりもなに
よりもこの必死さを最初から表現できなかったのが痛恨過ぎる。WCに続きこ
れでは、イタリー国民は涙ものであろう。

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 夕方萌がやっとRBと遊べた。RBは2歳半と小さいので、時間を合わせる
のが難しいのだが、晩飯後だったらだいたい大丈夫とのこと。迎えに行ってみ
ると二人で絵を描いており、そして童謡に合わせて踊っている。あー萌にはビッ
グガールズじゃなくてこの子がいいと痛切に思う。萌は本当にイノセントなん
だよ。2歳半の子と気持ちが通じ合うほどに(笑)。

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■.04/06/23(水) 09:59:22 □ Sun Valley Park
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 プリスクールのDNのお母さんが「Sun Valley Park はいいわよ、プールは
今週末からだけど噴水で夏中遊べるわよ。行けば必ずあたしたちがいるわ」と
いうので掃除後行ってみると、小さいが日陰と噴水が完備した最高によい公園
だった。こんなところがあったのかー不覚だったーと笑うのみ。今年の夏はこ
こに決まりだ。

 晩飯後萌は今日もRB家へ。ついに軌道に乗ったと一安心。今日歯磨きをし
ながら、俺が日本語で喋ってるのに萌が英語で喋り続けるという今までにない
状況が生まれていた。「萌、英語うまくなったね」「Yeah, I don't speak
Japanese actually!」なんつーてた(笑)。最近RBや隣のJKの家に一人で
お邪魔することが多く、必然的に英語を多く話すようになって自信をつけてき
たのだろう。よしよし。

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■.04/06/24(木) 20:02:44 □ ERちゃん来訪
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 萌が待ちに待った幼稚園のERちゃんがやってきた。二人とも超ハッピー。
お母さんのY子さんも思ったとおりのいい人で楽しかった。1歳の弟君にうち
で怪我をさせたくないので俺は始終ついて回っていたのだが、なんかこれって
懐かしいなあ、萌もこうだったよなあとしみじみ大変&楽しかった。世の皆さ
んが2人目をほしくなる気持ちが初めて分かる。

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 【ポルトガル・イングランド】どっひゃー! こ、これはすごいゲームに間
違いなし。フィーゴが初めて調子がいい。しかもオーウェンがワンダーさを取
り戻していきなりゴール。すごい。どっちのチームも攻め出すと必ずシュート
まで行ってくれる楽しさ。あーありがたやありがたや。

 そしてポルトガル見事追いつく! ここまでずっと省電力でシュアなゲーム
進行から、信じがたいほど見事な意思統一での全員同時ダッシュ攻撃で効率よ
く相手を叩き崩してきた強い強いイングランドなのだが、この試合は先取点の
せいでそれが行き過ぎ単なる守勢になっていた。ポルトガルが熱き開催国魂に
ドライブされた走りで、英国によるシュアなゲーム進行などを許さなかったの
である。

 そして延長、サブで入ったルイコスタが俺を忘れていたのかとシャウトする
かのごときゴール! ルイコスタという人は新進の万能型デコよりはトータル
で劣るのかもしれないが、選択するプレイがことごとく見ている方の予測を裏
切り、妙なリズムでヘンなところにボールを運んでくる傾きがある。それはデ
コからは感じられない。まさにそのひらめきで堅い堅いイングランドDFが一
瞬不在だった場所にボールを持っていってしまい、素晴らしいミドルを決めた
のだった。素晴らしすぎる。

 しかしまだ10分もある非ゴールデンゴール制、省電力を捨てたイングラン
ドからこのあと10分も1点を守りきれるはずがない―――と思っていると想
像通りにセットプレーから追いつく。このセットプレーにしても単なる放り込
んでポンではなく、何人ものプレーが意思統一されて生まれた見事なものであっ
た。すばらしい。。

 延長が終わったところでもー十分に堪能しましたごちそうさま、あとはもう
どっちが勝っても満足ですという感じ。それに加えてPK戦までがドラマチッ
クで、サッカー好きで俺は幸せ者だよと思うような試合でございました。

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 晩飯後恒例となったRB家に行ったのだが、俺が迎えに行くときにSMに見
つかってしまい、萌がまたKTとSMについていってしまった。

 んでまたあの猛獣使いごっこをやるだろうからと注意して見ていると、萌が
SMに「Don't make that face」といって泣き出した。ちゃんと自分でそれを
言っただけコミュニケーションの進歩ではあるのだが、泣いてはいかん。降り
ていってどうしたのかと双方の言い分を聞くと、どこで遊ぶかって話がまとま
らないときに萌が理由もなく泣き出したのよと二人はいい、萌は「She made
that face」と俺に訴える。俺がSMに「また怖い顔したのかい」と聞くと
「してないわよ!」と例によって怖い顔でにらみつけるので、「してるじゃん」
といって笑い、その場の空気をやわらげることにとりあえず成功する。

 とにかく、萌はサーカスなんか見たことないからなにをしたらいいか分から
んし、君らが sit down! って怖い顔をするから怖がってるんだよというと二
人はおよそ納得したらしい。命令口調と怖い顔は彼女らの性質なのであって、
これ以上はどうすることもできない。SMもKTも一人だけのときはさほどエ
スカレートしないので、あの二人が揃ってるときはできるだけ避け、避けられ
ないときは俺も出て行くしかない。

 帰ってきたMにどうしたもんかねと相談すると、命令口調と怖い顔は(カナ
ダの)文化的なものもあるから、気にしないようにするしかないわよと気軽な
ことをいう。んなこといってもなあ.....。

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■.04/06/25(金) 13:49:54 □ ヘアカット
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 プリスクールのボランティア掃除をヒイヒイと片付けて、昼過ぎに萌をLちゃ
んちに届けて、俺は3ヶ月ぶりの午後オフとなる。近所のLちゃんちは本当に
ありがたいですよう。この機会にできることはなんだ? えーとえーとそうだ
髪の毛を切ろう。そうしよう。

 ぷっはー、すっきりした。はー。

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 【フランスVSギリシャ】はプリスクール掃除で後半から見たのだが、フラ
ンスよくなってないじゃんなんだこれはと思っているとギリシャの完璧なゴー
ル(絶句)。文句のつけようのない組み立て、交わし、クロス&ゴールだった。
これはえらいこと。ギリシャはアンリがサイドを突破しても1人がスピードを
落とさせ2人目でドリブルを壊す、あるいは1人目で止められる場合は奪った
ボールをすぐにもらって蹴れる位置で2人目が待機するといった組織立てが見
事なまで整備されており、日本っぽいなあと思う。

 フランスはアンリやピレスなどの高い個人能力で突破を目指してほしい。パ
ス回しによる意外性のクリエイト力は、ジダンの力と共に衰えている。このチー
ムはどうしたって「今のジダンはどうなのか」という視点で見てしまうわけだ
が―――だって昔はジダンだけを見ていれば楽しくて仕方がないことが次々に
起こるチームだったんだから―――、ジダンがボールを失い、ジダンがつまら
ないパスを積み重ね時間が過ぎていくのを見ていると、つらいなあ、いっそジ
ダンを下げてもーとにかく走れる奴は全員どかーんと突っ走ろうぜと言ってや
りたかった。ポルトガルだってそうじゃないか、うまい奴らが走るからすごい
プレーが出るのだよ、フランスだって走ればいいじゃないか。

 そして彼らは空しく敗退していったのである。ほんと、空しかっただろうな
と思う。

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 萌は、あーしあわせだったわーという顔をしてLちゃん家から帰ってきた。
ほんと、ありがとうございました。

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■.04/06/26(土) 10:51:40 □ 英語のキツさについて
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 オランダ・スウェーデン戦(PK戦を最後に止めたファンデルサールがすご
い顔をしていた。おおおおし! と大きくひらがなで書いてある感じ、最後は
いい試合でした)と同時刻にJリーグの優勝決定ゲームがあったのだが、鹿島
がどうにも弱くなっていて一方的な試合になっており、かつ横浜のサッカーも
面白くない。まあ世界最高峰のユーロを毎日見てるのだから比較されるJの
方がかわいそうなのだが、岡田監督はフィールド全体にJ平均より少し優れた
選手を敷き詰めて、そして全員に非常に高いモーティベーションを与えてるだ
けなのだと思う。まあそれが監督の手腕というものなのかもしれないが、将来
はともかく現時点では「Jで勝つ」というリアリスティックな方法論しか感じ
られない。選手の質を上げていけばいくほど美しさが研ぎ澄まされるんじゃな
いかと思えた市原のサッカーとは違うのであった。アンジョンファン、ユサン
チョル、久保といった代表のレギュラークラスにボールがいくとワールドクラ
スな匂いがするのだが、その時間以外は非常にドメスティックであった。鹿島
磐田が弱くなってるから仕方がないのだが、これがJの王者かと思うと物足り
ない。

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 午後またウォーターパークへ行き、夕方さらにRB家のプールへ萌が水着を
着ていく。RB2歳半と萌の遊びを初めてフルタイムで観察したのだが、おも
ちゃの取り合いシーンなどになるとやはり萌は気圧されるところがある。やっ
ぱり一人っ子はこういう気弱なところがあるのかなあと考える。だがしかしR
Bは妹がまだベイビーで普段その面で鍛えられているわけではないので、単に
性格的なものかもしれぬ。

 SMやKTと遊んでいて萌が圧倒されるのは、メルが言うように言葉や文化
のせいもあるのだろう。日本で年下の子に「Sit down and watch!」なんて怒鳴
り威嚇する5歳児がいたらたちまち近所で話題になると思うが、カナダだと
「あんまり bossy(エバり)になるんじゃないわよ!」と親が遠くから注意す
る程度で流されてしまう。それでいて逆に萌が同じような言葉遣いをするとヒ
エラルキーの上位にいる彼女らの逆鱗に触れるわけで、英語というのは弱者
には使いにくいアンフェアなところがある。「そこで座って見てて(よ/ね)」
とあらかじめトゲを落としてある日本語の方が、子供には使いやすいはずだ。

 萌のメンタリティはやはりここまで日本語で主に形成されているのかもしれ
ない。最近俺とも自信を持って英語で話せるようになって飛躍的に英語力が伸
びているが、よかったなとほっとすると共に、あのえもいわれぬ物柔らかさは
消えていくのだろうかと寂しさも感じる。


プロジェクトXのようだったユーロファイナル
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■.04/06/28(月) 09:58:22 □ ラクーン問題
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 ラクーン(あらいぐま)親子がまたデッキで寝ていた。2mの距離で声をた
てて追い払っても逃げないのだから恐れ入る。2度目なのでMがアニマルコン
トロールに電話するが、業者を雇わねばならぬとの答え。とりあえずアンモニ
アを使うなどできることをやってみなさいとアドバイスされた。

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■.04/06/30(水) 11:42:51 □ PoCo 日本人会か
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 10時半から萌がRB家に行きたがり、聞いてみると都合がよさそうだっ
たので置いてきて久しぶりに徹底掃除をした。ふー。クリーンになったところ
で【ポルトガル・オランダ戦】開始。うー!

 ポルトガル走りに走り攻めに攻めてコーナーから先制。選手の力量はイーブ
ンでも、イングランドを破った勢いと自信と地元パワーをそのままぶつけるポ
ルトガルに対し、オランダは相手の攻撃が終わってから反撃を試みることしか
できない。ニステローイがいれば1点はドサクサにまぎれてでも取れるだろう
が、勝利に必要な2点が取れるとは思えない。フィーゴが鬼気迫る働きぶり。

 後半、FWマカーイを入れいきなり圧力を一段高めてくるダッチ。だけど仕
上げのパスを出していたオーフェルマルスを下げたのが残念。と、どっひゃー!
攻め返そうとしていながら今ひとつ成果を挙げかねていたダッチの油断か、ク
イックコーナーから無警戒な状態でものすごいミドルを決められてしまった。
ポルトガルにはすごいセンターFWがいないので攻めまくってる割にはシュー
トが打てないのだが、攻めていればこうして点は入るのである。

 これで後がなくなったダッチが猛攻しオウンゴールをもぎ取る。いつか来る
だろう「ニステローイ点」を考えると、ポルトガルはその前に突き放したい。
ヌーノゴメス登場。

 残り20分、ダッチはファンホーイドンクも入れて3センターFWにしてき
た。放り込むのか。残り5分コウトが入る。ルイコスタの出番はなかったが、
今日はコウトが放り込みを止め貢献する番だと思う。ダッチ放り込むが撥ね返
すポルトガル。最後にFKの大チャンス、達人ファンホーイドンクが蹴るとい
う場面でこれはイカンと思ったがなぜか壁に当たり消え、そしてポルトガルが
見事に決勝に進出したのだった。「ニステローイ点」も入らなかった。ニステ
ローイにほとんどボールを触らせないほどに、ポルトガルのゲームは完璧だっ
た。

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 午後恒例のウォーターパークで、Save On で一度行き会ったことのあるLS
ちゃんという子とお母さんが俺たちを見つけ話しかけてきた。ありゃまー偶然、
これからも遊びましょうとなる。萌はどんどんと友達が増えていく。PoCo 日
本人会か。ありがたいありがたい。

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■.04/07/01(木) 11:33:39 □ カナダデーセレブレーション
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 カナダデー。市のセレブレーションに行こうと支度をし、他にこういう機会
はないので萌に浴衣を着せてやった。だが公園につくと日陰がなく暑いという
ので元に戻してしまう。とにかく暑い(というか日陰がなくてしんどい)だけ
で、催し物もつまらなく早々に帰る。日本の夜店にゆかたで行きたいものであ
る。

 んで午後は家で3人ゴロゴロして過ごしたのだが、窓から吹く風がえらい涼
しい。夜には気温が 20 度フラットまで下がり、暗くなるのも早くなってもう
真夏は過ぎたのかなあと感じる。

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 ユーロではチェコが負けてしまった。やってくれたわこのグリース。チェコ
の方が押してるとはいえ、グリースが点を取っても不思議ではないという展開
で 100 分戦いきって勝ってしまったという感じ。チェコも根負け。怪我で退
場したネドベドがかわいそうだった。きっと決勝にはいけると監督が考えて、
「大事をとった」交代だったのだろうが、ネドベドの不在はやはり大きすぎた。

 晩飯は寿司! このへんで唯一と思われる日本人がやってるテイクアウト寿
司屋が当たりであった。仕込みに金をかけられない田舎のテイクアウト寿司屋
だからネタの種類を増やせないのだろうが、そんな中で入魂してるのだろうと
思われる握り寿司。プロの味がする。あーうまいとイカと貝をしみじみ味わっ
た。

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■.04/07/04(日) 11:13:39 □ ユーロ決勝
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 ユーロファイナル。なんかあちこちでギリシャは守備的だ美しくないと20
02の韓国みたいに批判されてて、でも守りが決死なだけでちゃんと攻めてる
じゃん批判するこたないだろうと俺は思うのだが、でもやっぱりポルトガルが
美しいパスでキメテほしいのである。才能の神話の継続を願う心が誰の胸にも
ある。まあもちろんギリシャ国民以外は。

 試合開始直前移民街コマーシャルDRを偵察してきたPさんより報告「スゴ
いことになっておりました。ポルトガル陣営とギリシャ陣営が道を隔てて対峙
しているブロック多々。巨大ポルトガル国旗を流したダンプx3台が行進。サッ
カーカフェはどこも長蛇の列」―――うけけけー! スバラシー!

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 わりあいに静かな立ち上がり。のっけから力押しでいかないところがポルト
ガルのつつましさなのか。それとも堅くなってるのか。そしてそのまま何事も
起こらずにハーフタイム。うーむ、これはなんかフランス戦とよく似ているよ
うな。ボックス前までは余裕で持っていけても、その時点でギリシャの4バッ
ク&2ボランチががっちり守っている。ギリシャもいいクロスを上げるところ
までは持っていけてる(中にFWがいないけど)し、よくない展開としか言い
ようがない。

 ああ........そしてCKからギリシャ先制。これはこれで決まってしまう気
配濃厚。ルイコスタ出る。頼む!

 残る時間はポルトガルひたすら攻める。ルイコスタのリズムと間合いで攻め
るしかないと覚悟を決めた感じで、効いてはいるが時間が。ぐああロナウド、
決められず! やっぱり決勝になると若造には決められないのか。なんか日本
が負けた宮城スタジアムを思い出す静けさ。もっと燃えろ観客! と思ってい
ると観客乱入。あーこういう奴が出てくるともーだめだーと、スタジアム同様
俺も脱力していくのであった。

 最後の最後にフィーゴの華麗な足サバキからシュート、惜しいいいい! な
ぜああいう針の穴を通す系の足技を誰もが持っているのにそれを使える状況に
できないのか。PKボックス内に人数は揃っていても、中にボールを入れて持
たせることができればハプニングを起こせる選手は揃っているというのに....
と考えている間に終了。

 アナウンサーはおとぎ噺といっているが、フットボールのおとぎ噺はやっぱ
信じられないほどの才能が努力を上回るというやつなので、これはおとぎ噺で
はなく当事者が感慨深く涙を拭うプロジェクトX系の話である。はあ...終わっ
てしまった。静かな静かな表彰式。楽しかったがさびしかり。



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