■ Travel Journal
From: Tomohisa Sakata (sprynet.com)
Date: 5 Mar 1996 11:16:33 GMT
Organization: RES Online (Vancouver)
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【マウイ島旅行記】(4)
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Feb 25 (Sun)6:26 pm □ 決死の海底スノーケリング
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結局鯨ツアーに出るハッスルは避けて、ビーチでのんびりすることに決
定。レンタルの用具を借りて、浜辺でスノーケリングに挑戦。想像した通
りに恐ろしかった (^_^;)。
妻は完全に動転して、「自分の息の音しか聞こえないわ!」とか「無理
よ!」とか「水を飲んだ!」とパニックになってたが、手をつないで流され
ないようにしながら浅瀬でだけ楽しんだ。そんな浅場のちょっとした岩の
陰にも水族館みたいな熱帯魚がぞろぞろいるんだから、やっぱりすごい。
これなら、うまくなって砂で濁らない岩場まですいすい行けるようにな
れば、すばらしく美しいものを見られるな。だけど、それには顔を水面に
つけたままいつまでも延々と浮かんでいられる精神力が必要だ。その状態
でなら安定していられるのだが、私たちはすぐに怖くなって脚をつき、顔
を上げずにいられないのだ。波がそこそこあるので流されるのもこわいし、
深いところや厳しい岩場になんてとても行けないな。浅場で気分を味わっ
てるだけで十分楽しいし、水の中で泳いでいく彼女を水中メガネで見るの
は不思議な感覚で面白い。今はストレスを味わってまでうまくなりたいと
は思わなかった。
そして、「あたしたちは成し遂げたわね」と 妻はいうのだった。「誇り
に思うわ」。───は? なんの話だ。「私たちは恐怖を克服してスノー
ケリングをしたのよ!」。あー、まあ、したといえばしたけどアナタ、水
深 100cm のところにいたのよ私たちは。泳ぎながら海底に手がついたじ
ゃない。「深さなんて問題じゃないのよ!」。はあ (^_^;)。
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水から上がってビーチの木陰で休んでいると、「あんたたちを飛行機
の中で見たよ」とカナダの夫婦が声をかけてきた。マウイが好きで毎年
来てるんだって。マウイはオアフなんかよりずっといいよ。ワイキキな
んてこんなナイスな砂浜はちっともなくて、岩とマッチョマンとビキニ
ガールしかいない。このビーチの方がはるかにナイスさ───そう力説
されていた。そうか、やっぱりなー。まるきり偶然※1 だったとはいえ、
オアフじゃなくてマウイにしてよかった。
やっぱりカナダの人は感じがいいよなあ。誰もが言うけれど、アメリカ
人は態度がハードだ。ホテルのフロントもレンタカー屋もカフェの給仕も
みんな、冷淡さかわざとらしいナイスさかのどちらかしか見せてくれない。
まあバンクーバーにも態度の悪い人は多いし、それをいうなら東京だって
同じことなんだけど、でもやっぱりこんなパラダイスでは人々がやさしく
にっこりと笑ってくれないと、アンバランスさが際立つよ。
※1 根拠思想があってマウイに来たわけではなく、単に「暖かくて安い
ところ」という注文でバンクーバーの美人旅行エージェントが見つけ
てくれたチケットでやってきてたのです、往復一人約3万円。
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レンタカー会社に電話で話をつけて、夜空港へ車を取りに行き、明日は
朝から車で残りの一日を楽しもうということになった。泳いだ後は、TV
でひたすらぼーっと映画を見る。どれもこれもひどいデキなんだけど、窓
からの心地よい風に吹かれながら横になってくだらない映画を見ていると
いうのは、怠惰を絵に描いたようで結構なごむのであった (^_^)。
しかしこの「ジャッキーチェンのアメリカ映画」はひどいな。チェンを
はじめとして登場する香港の人々が全員二流のダーティハリー風キャラク
ターを持たされてるんだから情けない。そんな奴はアジアにはいないよと
TV につっこむこと数度、結局途中で見るのをやめてしまった。ミュータン
ト亀と甲乙つけがたい文化的劣悪さ、これは失敗したわけだわ。かわいそ
うに、ジャッキーチェン。
雑誌に載ってたインタビューでは、チェン自身も「タフでクールで、銃
で人を撃ちまくらなきゃならない」アメリカ映画出演に苦悩していて、今
度の新作では自分が楽しめるように香港流で通したとのこと。そんなに興
味はないけど彼はかわいいので、かわいいまま素手で売れてほしい。
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明日で旅行も終わり。なんというか、まだちょっと物足りないけど、も
う1週間あったらすることがなくなりそうだな。もう少し日にちがあった
ところで隅から隅まで見れるわけじゃないけど、水際で終わり、と行ける
範囲にはっきり境界線があるというのは、想像力が広がっていかない。こ
の滞在で、この島のどこの景色も想像できるような気分になってしまった。
実際は南の崖とか、想像を絶するすごい場所がまだまだあるそうだけど。
ハナという離村にも行ってみたかったけど.....またの機会ということに
しておこう。
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Feb 26 (Mon)10:37 am □ マウイ最後の日
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荷造りをしてチェックアウトをし、海を見ながらゆっくりとコーヒーを
飲む。ハワイのコーヒーはうまい。最後のシーサイドテラスに腰掛け、遠
くでときおり鯨が潮を吹く海を眺めていると、妻はもっとここに長くいた
いような気がするとさびしそうだった。
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車をゆっくりと走らせて Paia から Hana へ行く極細道を走る。ハナま
で行くと今日中に帰ってこれないので、途中にある滝を見ようと。結局滝
そのものは手持ちの地図に載ってなくて見つからなかったのだが、うるわ
しい渓流とその滝壺風プールがみつかった※1。地元のサーファー町から
来たと思われるマウンテンバイカーが滝壺に飛びこんで気持ちよさそうで、
私もその絵に描いたようなかわいい滝壺に入りたかったのだが、水着を持っ
てきていなかった。別にハワイでなくてもいいから、ああいう場所があっ
たらキャンプしながら水遊びがしたいなあ。夢のようだ。水際は蚊の宝庫
だったけど。
そのあと Wailuku の博物館※2 に行って───ハワイでは神にいけに
えが捧げられたというのは本当だった───、最後にもう一度こないだ行っ
た Needle がある Iao 渓谷に行く。なんど見ても美しい山々。今日は細
かな天気雨に日が射して、完璧な虹が出ていた。おお。美しすぎる旅の終
わり。
※1 地図では Twin Falls と示されているところ
※2 Bailey House という旧宣教師の家をミュージアムにしたもの。家
と庭はかわいいが、展示物はお金を払って見る価値ほとんどなし。
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Wailuku の町はずれで日本人のおばさんがやってる飯屋※を見つけ、マ
ウイ最後のごはんをいただいた。巨大な豚の角煮が出て、なかなかうまかっ
た。おばさんに聞いてみるとハワイはいい豚が育つんだって。なんかその
おばさんに気に入られた私たちは、ゆっくりしていきなさい、飛行機の時
間までここにいなさいとポットになみなみとつがれたコーヒーとお茶菓子
を出されてしまった。コーヒーをポットで出されたのは初めてだ、おお懐
かしいおせっかいな日本のおばさん (泣)。相撲の高見山はここの出身な
のよと自慢してた。この豚であんなに大きくなるのか、なるほどうなづけ
る。
旅の最初に両替した $500 以外は全てクレジットカードで過ごして来た
ためもうほとんど現金がなくて、こんなに振る舞われて払えなかったらど
うしようと思ってびびってたのだが、$15 で済んだ。やっぱり地元の人し
かいかないような店はカナダ同様安いんだな。
※ Wailuku "Restaurant Mushroom"。ローカル向けの飯屋。山のような
豚肉の塊とおいしいライスが出る。
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最後の最後に、ここに住む多摩美出身の友人の友人に電話してカフェで
落ち合った。久しぶり、元気でしたか。この島で絵なんか描いてます?
マウイはアートの島だなんてさかんに宣伝してるけど、あんなの笑っちゃ
いますよね。あなたが本気で描いたら、いちやくマウイ1のアーティスト
になれるのに。───そう私が力説すると、彼女はそうですねと笑ってた。
昔東京で一度会ったことがあるだけの子に、こんな太平洋の真ん中で会え
るなんて、なんだかとてもナイスなことだった。旅先で知ってる人に会え
るのは、いつでもうれしいことだし。
彼女と別れたらもうかなり時間が迫っていたのだが、ぱっぱっぱとやる
ことを済ませて無事飛行機に搭乗。また夜遅くのフライトだったので、空
港の免税店がしまっていておみやげがなにも買えなかった。よく見かけた
ハワイらしいプラントの小さな苗木を買っていきたかったのだが。あれは
なんという木だったのだろう。それだけがひどく心残りの、ああ、さよう
なら、はじめての南の島よ。
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96/02/27(火) 09:25:46 □ カナダ帰国
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非常に寒くしんどい飛行機にくたくたになって帰ってきたら、バンクー
バーは晴れてキンキンと冷えていた。雪の山々が美しい。ちょっとだけ、
いままでバンクーバーで感じたことのない「帰って来たなあ」感があった。
すさまじい気温差のせいだろうか。
そして寝て起きたら二人揃って喉が痛く、ハナとくしゃみが出始めた。
うちに戻って気がゆるんだせいか、ヒーターで温められた部屋がドライす
ぎるのか。とほほ (=_=)。でもいい旅行だったな、ほんと。思っていたよ
りもずっとずっとハワイはよかった。さすがは南の島のカメハメハ。──
─などと思いながら、ハナをすすってます。
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│ というわけで、個人的なことばかり書いてなんだこれはと思われたで │
│ しょうけれど (^_^;)、情報もできるだけ思い出して付け足しましたの │
│ で大目にみてください。マウイへ行こうという皆さんのお役に立てれば │
│ さいわいです。アロハ、と誰も言ってくれなかったので自分で言ってみ │
│ る (^_^)。 │
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│サカタ│
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...Tomohisa Sakata (Vancouver, CA)
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