'91 エリザベス女王杯とジュリー
 古い日記のファイルから、ちまた(fj 音楽)で話題のジュリーについて書いた部分が見つかりました。ジュリーのデビュー25周年が、もう6年も前のことだったのか。


■ 1991.11.11(MON)	エリザベス女王杯とジュリー
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     昨日は朝から気合いをこめて府中で戦ったが、敢えなく惨敗、菊花賞
    のプラスを吐き出してしまった。疲れた。

     エリザベス女王杯。───勝つのはリンデンでまず間違いないだろう。
    逆転可能な能力のあるのはイソノだけで、イソノはたぶん着もないだろ
    う。だいたいイソノのあの清水って調教師は全く信用できない。「ぶっ
    つけのほうが走る」だなんて、絶対信じられない。調整に失敗してる。
    もしこれでイソノが走ったら 100%馬の力による奇跡だ。そして競馬は
    奇跡を要求するスポーツではないのだ───と思いながら観戦。

     レースはまったく何事も起こらないままに淡々と進み、イソノはハナ
    に立てず終始2番手でまるで精彩を欠き、3コーナーで一度先頭をうか
    がっただけであとはズバズバにかわされ沈んでいった。16着。かわいそ
    うに。まったく名馬に対する処遇じゃないよな。かわいそうに。

     あー、やっぱりねーという静けさが府中を包みこんだ。リンデンだけ
    が抜けているのを確認したようなレースだったからか。きっとみんなイ
    ソノを見てたんだろうな。走るのか? だめか? って。それだけがこ
    のレースのキーだったのだ。結局今年の4歳牝馬クラシックはイソノの
    ためにまわっていたのだ。だのに。口惜しい。

     やっぱり2着はヤマノだ。かー、初志貫徹して買うべきだったー。3
    着はものすごい団子で6頭くらいが飛び込んできたけど、スカーレット
    ブーケが感動的に頑張って3着を持ち切った。エライ。ぱちぱち。やっ
    ぱりお前は強いよ。来年もよろしく。そして大外からものすごくいい脚
    で飛び込んできたのがイナズマクロス、4着。おお、俺が思ってたより
    ずっといい脚だ。最後尾から見事きた。あとで見たらノリが大外に振る
    瞬間が美しかった。横山典弘、アイラブユー。

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     サンスポを見たらイソノの調教師が松永騎手に、「気にせんでいい、
    こういうこともある」と言ったんだって。よくもそんな一家言ある大調
    教師みたいなことが言えたもんだ。どれだけの期待と夢と愛と金がイソ
    ノという馬に賭けられたのか考えて、JRA はこいつに謝罪させ、調教師
    免許免停にしてもらいたい。マスコミもこういう話を取り上げていい話
    みたいに書くなよばかめ。

      Arai から電話。今川上村にいるんだ。え? 廻り目平の? すげー。
    気持ちよさそー。昨日のエリザベス女王杯を当てたお祝いかい。おめで
    とう。......Arai はイソノの単勝をしこたま買ってたけど、11−16も
    持ってたのだ。エライ。いい天気で汗だくだって。ぐぐ、気持ちよさそー。
    Arai はエライよ。バカだけど。

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     ジュリースペシャルも始まった。充実してるなーBSの秋。念願のあの頃
    の映像も手に入った。黄金期。ジュリーかわいー・かっこいー。いまだって
    別にかっこ悪いわけじゃないんだよな。だけど卑屈なのだ。あからさまに。

     一晩中沢田研二スペシャルを見る。あー今こうして見てても面白い。
    だけど今見るとジュリーってデキ不出来が激しいよなー。やっぱりストー
    ンズは不調でもダサいことはしなかったから、それが現在の状況の違い
    を生んでるのだ。

     わ! 『決めてやる今夜』、忘れてたこんな曲。これだ。これが崖っぷち
    に立ってたジュリーの背中を押したのだ。曲も悪いがこの短髪がジュリーを
    駄目にしたのだ。ぴあの表紙でこの頭を見た時がっかりしたもんなー。謎が
    解けたぜ。こういうお人じゃないよねー、ジュリーは。

     『アーマポーラ』、そうそう。この頃は面白くなかった。『灰とダイヤモ
    ンド』はいい曲なんだけど、もはや手遅れ。もうフォローするには滅茶エナ
    ジーのいるアーティストになってしまい、これ以後は俺でもぜんぜん曲を知
    らない。太ってる。

     88年、「チャンス」。この曲知ってる。わりといい曲だよな。ほかの誰か
    が歌えばヒットしたかもしれない。--------だけど。わ! 89年にTOKI
    O(みたいの)をやってる。知らんかった。こうして客観的にあとから見ち
    ゃうと悲惨なほどにはずしているなー。かわいそうに。

     そして『スプリーン』。これだ! タイガース時代よりも絶頂期の曲
    よりも、この曲は絶対にいい。これなのに! --------結局売れなかっ
    たんだろうな。くー。かわいそうに。どうしてなんだ。こんなにいいの
    に。フラフラいろいろやり過ぎてもう決定的に信用をなくしてるんだろ
    うな。えー、いまさらジュリー? って感じに。

     頼むからジュリー、しばらくこれをやって。お願いよ。きっとこの歌が分
    かってもらえる日はくるよ。

     やっぱりきつい深読みやくどい比喩はジュリーに似合わないのだ。い
    いラブソングをかっこよく歌ってほしいのだ。中森明菜が以前ウケて今
    ウケないのも(知らないけど)同じことだろう。シャウトも似合わない、
    つやのあるあの素晴らしい声を聴かせてほしい。


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■ 1991.11.12(TUE)	昔を追い求める人々の残酷さ
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     あらゆる人が沢田研二の現在を地味だとか言って残念がっていて、本
    人も申し訳なさそうな顔で終始縮こまってる。ほんとにどこからどこま
    でそのムードに満たされてる。気の毒だよな。後半になってきたら「い
    ま何が悪いのか」なんてことまでトークされてるし。余計なお世話じゃっ
    て言いたいだろう、ジュリーよ。誰にも気づかれることがなくてもスプ
    リーンみたいないい曲をどんどん歌っていれば、きっと分かってもらえ
    るさ。......そう思っていてもまわりが「もったいない」なんていうむ
    ごい言葉を吐き続けるんだろうな。

     本人を呼ばないでやったらよかったかも。あんなに針のムシロに座ら
    されてるのは気の毒だ。思いやりとは名ばかり。俺の今の境遇も同じよ
    うなもんだよな。ただスケールが違うからつらい思いもしないで済むだ
    けで。

     だいたい芝居とかライブとか、見に来てる人たちはきちんと今のジュリー
    の仕事を評価してるわけで、見てないでああこう言うのはフェアじゃないし
    ジュリーだってやりようがないよ。気の毒に。

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■ 1991.11.14(THU)	現在の輝けるジュリー
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     ジュリー特集全部見終わる。面白かった。武道館ライブを見たら最近
    の曲も滅茶かっこいいのがけっこうあるじゃん。ていうか私としては昔
    の曲を今のバンドでやってもらってもあまり面白くない。今の曲をやっ
    てるジュリーの方がぜんぜん胸にくるものがある。昔のビデオは楽しかっ
    たけど、いまはもっと新しい曲を聴きたいのだ。

     トキオから始まる後半のアタマあたりがめちゃめちゃよかった。こう
    いうジュリーがいちばんかっこいい。みんなの愛を一身に受けてシリア
    スな曲でもニヤニヤしながらすいすい歌っちゃうの。才能だけで充分違
    うんだぜって感じ。しびれる。この路線で不まじめにやってほしいな。
    ポラロイドガールって曲が超いい。どうしてこれが売れないの、もー!

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     そしてとくに期待はしてなかったミュージカル芝居、『ニーノロータ』
    が異常によかった。音楽が滅茶いい。ニーノロータ風アレンジのなされ
    た「勝手にしやがれ」なんてしびれた。今のバンドでやってるアレンジ
    よりぜんぜんかっこいいじゃん。ほかのニーノロータの曲もすごく気持
    ちいいし、生演奏でやってるんだからバンドもすごい。こいつら(音楽
    監督?)ナニもんだ。ただ者じゃないぞ。芝居そのものも楽しかったし。

     これだけすごい仕事してるのにTVがどうのこうのって言われちゃ、
    ほんとにジュリーも立つ瀬がないわ。俺なら怒るよまじで。トークで
    「デビュー以来の友人」ばっかり呼んで「残念だ残念だ」なんてつまら
    ないことを喋らせてないで、ここ10年をもっとも知るものとして吉田ケ
    ンやこの芝居の監督も呼ぶのがフェアだと思うな。

     それにしてもやはりアタマからっぽで声と身体が勝手にかっこいいと
    いうのが沢田研二の理想であり独壇場だというのが、ジュリーを25時間
    見ての感想です。



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