ナカタから吹く快い風の便り

http://nakata.net/jp/fanmail/mail20011130/mail0027.htm
差出人:サカタ@カナダ
タイトル:快い風の便り


ナカタさんの新しいメールを今読みました。試合を見ながら、中盤を 組み立てるのはとりあえずあきらめて前線に飛び出してみようと考え たとか、友人の子供たちと話していてイタリア語がうまくなっている のに自分で気付いて感動したとか、その友人がデルピエロと友だちで 皆で連れ立ってワイン工場を見学しに行ったとか。なんだか感動して しまいました。外国に住み、そこでプロスポーツ選手として仕事をす る日本人の中で、ナカタさんのプレーンな(つまり雑味のない)感性 とその体験のみずみずしさは、際立っているんじゃないかと思えま す。その行っている仕事もまた同様に、ほかに類がないように思えま す。 たとえばMLBのイチロー選手ほかの人々の活躍は、熱心な日本のフ ァンにとっては驚きではないでしょう。チームが変わっても国が変わ っても、フィールドで同じ技術を実現するだけの図抜けた能力があれ ば野球では成功できるということを、彼らは証明したんじゃないかと 考えます(野球を見ていないので、まったく間違っていたらすみませ ん ^_^;)。ですから僕はイチロー選手がMVPを取ったことには、た とえばトヨタの車が全米顧客満足度1位になったというニュースと同 じような印象を受け取りました。「まあもともと日本のウルサイ顧客 も満足してるわけだし(まあもともとイチロー選手が別格なのは、日 本のファンなら誰でも知っていたのだろうし)」というような感覚。 それは日本の技術者(選手)の努力がアメリカのユーザー(ファン) に愛されたという意味でうれしいナイスなことではありますが、その 評価場所が変わっただけとも感じます。 ナカタさんのこれまでセリエAで見せた1つ1つのプレーの記憶と、 Hide's メールの言葉たちから僕たちファンは、上記のようなニュース とは違った種類の喜びを感じます。それはナカタさんが居場所を変え ただけの存在ではなく、『イタリーのサッカー選手』としてしかでき ない体験を積み重ねていることが伝わってくるからでしょう。ペルー ジャの選手としての体験、ローマ、パルマの選手としての体験、成功 と不成功の積み重ね。チームの違い、サッカーの違い、チームメンバ ーたち。住む土地の違い、旅先のさまざまな変化、食べ物と笑いと友 人たち。こうしたあれこれは、ほかのどの国でもなくイタリーという 国に、ほかの誰でもなく中田英寿という選手を送り込めた僕たち日本 人が楽しむことのできる、快い風の便りなのです。 イタリーから、また中田選手の鮮烈なニュースが届くのを待っていま す。そして願わくばもっと頻繁に、この風の Hide's 便りが届きます ように(笑)。

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