【Journal】9年ぶりのノバスコシア


■ 03/05/28(水) 07:55:07 □ 東へ東へ
 機上の人となる。道が妙に込んでいてあせったが、国内線だからか余裕のチェッ クインだった。飛行機での出発は何度やってもリラックスしてやれないが、いっ たん乗ってしまえばOK。萌は飛行機に乗っているということだけで大ハッピー。 そして俺は飛行機に乗った途端にすぐさまこうして Pocket PC でジャーナル を書けるということに、激しく満足感を覚えるのである。 ----------------------  00:52、Mの古い友人UM家でようやく人心地ついたところ。Halifax は恐 れていたほど寒くはない。大陸横断だが、さすがに日本に行ったときほど疲れ てもいない。  空港につくと、予定していたSH姉さんだけでなく、Mの友達PRとJDも 待っていてくれた。彼女らが萌を見て大喜びし、ああそうかMは昔の友だちに 萌を見せてやりたかったんだなと今頃気がついた。学会はともあれそれが真の 旅の目的なのである。来てよかったなと、俺もやっと思った。
■ 03/05/29 (木) 12:41 UM家で萌と二人
 一人会議に出かけるMとともに、7時に一度目を覚ましてしまう。UMとM たちが出掛けてから寝直し、10 時半に萌と起きた。Mの会議が終わる日曜ま では、俺と萌は特にやることがないのである。まあMの代わりをしてくれるS H姉さんもUMも一緒にいて超イージーな人だから助かる。萌と近所を散歩を してみたが、やはり上着なしでは風が冷たい。 ----------------------  JDの孫TRと共に飯を食い、俺が9年前に英語コースで学んだ SMU 大学 のプレイグラウンドへ行く。おー、この公園には見覚えがあるぜ。ソフトボー ルをやったのだった。なつかしい。というだけで、特に何事もない一日。
■ 03/05/30 (金) 12:02 9年ぶりの Halifax タウン
 時差ボケで睡眠時間がガタガタ。SH・UMと共にパブリックガーデンに行っ た。9年ぶりの町の景色は、さすがに懐かしい。萌も公園のダックと遊び大喜 び。いいところなり Halifax。9年前はなにもない町だぜと超退屈したが、ネッ トと車があれば、今住んでる PoCo で暮らすのと変わりないよなと思う。まあ 冬は寒すぎるだろうが。  じっさい車があれば、この坂とカーブだらけの町は運転が楽しいに違いない。 Halifax は実は一大スバルタウンで、レガシィがシビック並みの頻度で走って いる。この坂と厳しい冬にはやはり 4WD が向いてるんだろう。 ----------------------  2日目の会議から帰ってきたMは、落ち込んでいた。「アルバータとニュー ブランズウィックの大学が私の研究を認めて、熱烈に誘うのよ。うれしいけど、 家を売るわけにはいかないし、なんでBCの大学には私の研究を評価する教授 連がいないのかととため息が出るわ」。まったく SFU と担当教授のせいで、 Mの研究は必要以上に難航しているのだ。腹が立つ。
■ 03/05/31 (土) 10:42 皆が集まる
 萌がガバと起きあがり目が覚めた。「マミーどこ?」とやや不機嫌そうだが、 SHを発見してああそうかよその家にいるんだと納得した様子。今日は夕方か ら人々が集まりパーティ。Mが早く来れたらいいな。 ----------------------  Mがちょうど帰る頃から「お帰りなさいM」パーティは始まり、15 人ほど が集まり和気あいあいと楽しかった。9年前の小さな子供たちが、皆大人となっ て登場するというのは恐ろしい(笑)。中学生だったJDの子なんか、ヒゲを はやし子供を持ち、「ヘイマン、また会えてよかったぜ」なんていうのである。  俺は萌とTRが喧嘩にならぬようにと最後まで目を光らせるのみでパーティ どころじゃなかったが(2人とも最高度にいい子だが、3歳なので放っておく とトーイの奪い合いになる)、なんか萌とMのグッドタイムを背後で支えるサー ビス部という役割が妙にはまり、やってて悪い気分ではなかった。  最後にギターが出てきてなにかやってくれと言われ、なにをやればウケるか とっさに思いつかず Brown Sugar を歌う。なんか皆ロックな人々じゃないの か、すごいわねえとすごい速い曲ねとびっくりしていた。そ、そうですか?
■ 03/06/01 (日) 07:42 豪雨のハイウェイ
 最後のプレゼンテーションのために起きたMを、なんとなくサポートしてや りたくなり俺も起きて少し話をする。アカデミックキャリア最初のパブリック 舞台。頑張れ。  萌が起きるまで新聞を読むと(この家のPCは Win 2000 で日本語が表示で きる!)、日本がホームで韓国に完敗していた。うーむ。 ----------------------  今日は夕方Mが戻ったらM父家に移動する。そんなわけで朝からSHと一緒 に掃除と皿洗いをがーっと行った。UM家では2人の息子たちとその友人が恐 るべき勢いで家を汚し散らかし、UMの週末はその片づけで終わってしまい、 とても追いついていないのは明らかだ。少しでも家事を減らしてお世話のお礼 としよう。  18:45、Mがやっと戻る。プレゼンテーションは、「盛り上がらなかった (boring)」とのこと。無名研究者の初めてのプレゼンテーションなので、客 の入りからしてよくなかったらしい。まあキャリアはここからだ、がんばれ。 ----------------------  20:41、ものすごい大雨の中をMの故郷ピクトゥへ向かって突進中。レンタ カー(クライスラーの中型セダン)がへぼくて、水たまりを突っ切るたびにぶ るっと引っ張られひやひやする。FFだとこんなものなのかな。それになによ りこの車は小さすぎる。ベイビーシートをインストールしている後ろはもちろ んのこと、フロントでさえ肩をすぼめないと体が収まらず、どこに乗っても自 然な姿勢で座れないので疲れる。車の格はアコードあたりと同等らしいのだが、 スタイル重視で流線型&垂直面なしのデザインにしてるから、内部はシビック 並みのスペースしかないのである。SHのボルボかうちのレガシィで走りたい。  21:30、到着。M父家は階下が完全なスイートに模様替えされていた。居心 地がよい。米もあるので明日は自炊したい。
■ 03/06/02 (月) 07:05 Pictou の1日と萌のバースデイ
 昨夜車中寝てしまった萌が早くに目を覚まし、ここはどこだと顔を上げキョ ロキョロするのがおかしくて、俺も目を覚ましてしまった。「ここはグランパ のハウスだよ。グランパとGRに会う?」「うん!」。萌は大急ぎで階段を駆 け上がっていった。グランパとGRのことも覚えていたらしい。日本のジジバ バのことも覚えているかなあ。  久々に来たこの家は、子供が喜ぶものがいろいろあるなあと思う。プールに パティオに各種のオーナメント。庭には鶏の畜舎もあるし。萌がいろいろと発 見してはエキサイトする。  天気がよくなるかと思えば、相変わらず風と雨が間欠的にやってくる。M父 のドライブで散歩に出たのだが、外を歩くことはできなかった。M父友人家の 厩で馬の親子を見れたのがナイス。しかしノバスコシアは風がすごい。 ----------------------  夕方萌のバースデイパーティが開かれ、GRの妹(?)夫妻とその子供たち がやってきた。2人のガールズが来たので萌は大喜び。横で聞いてると萌は、 びっくりするほど英語だけで延々と会話している。すごいな。2人とも素晴ら しい子たちだった。  5日間米を食ってないので鍋で自力で作ることにしたのだが、やはり水加減 火加減とも非常に難しい。やっとできたのはヤワヤワな半おかゆで、でもまあ よしと萌と夜食をいただいた。
■ 03/06/03 (火) 09:50 ピクトゥは風が冷たい
 やっと天気は回復したが、やはり大西洋の町ピクトゥは風がむちゃ冷たい。 散歩はしたいがひるむひるむ。家の中はもう探検し尽くした萌が、退屈してい る。保険の関係で、車を借りて自力で移動できないのがイライラする。  午後、海を見に行こうと出かけた。砂浜に出るや否や萌は、「わあ、ナウシ カみたい」という。うーん、どのシーンを指すのかよく分からんが気持ちは分 かる。水辺でパシャパシャと貝を拾って遊ぶ。  夕方、別行動だったADとSHが合流し、萌はさらにハッピー。しかし今回 の訪問で初めて知ったのだが、GRは料理が非常にうまい。出てくるちょっと したサラダやケーキがことごとくうまい。日本訪問時にはなにかと俺をウンザ リさせた人だが、人は何かしら取り柄があるものだ(笑)。  GRは実際日本に来たときには、カルチャーショックもあったのだろうと今 さらながら思う。こうして自分の家にいるときには気配りもでき落ち着いてい て、別人のようだ。自分のペースで物事を進められないとパニック的になると いう気質の人で、だから旅先で人の家にいるとああなってしまうのだろう。
■ 03/06/04 (水) 09:17 留守番デー
 今日は俺たち3人だけで留守番。けだるい午後、サンルームで昼寝してしまっ た。こりゃ日本の縁側だな。スペースのない日本の場合通路兼サンルーム兼外 気温遮断装置になってるわけで、昔の人は頭がいい。縁側に長ザブトンという のが究極のレイジー・アフタヌーンであろう。  窓から見える海辺までちょっと散歩する。あまりきれいなところではないが、 萌は長靴でパシャパシャと楽しんでいた。カナダは西も東も砂浜が少ない。 地質の関係なんだろうか。 ----------------------  タ食後、子供らを連れてDBがやってきた。例によって狂喜する萌と共に俺 は子供たちと遊び、Mをフリーにしてやった。彼女はピクトゥ時代のMの無二 の親友で、会いたい会いたいと切なくなるようなメールをいつも送ってくる人 なのでドラマチックなことになるかと思ったのだが、意外にさらっとしていた。  Mは今日昼間、「こうして久方ぶりに来てみると、ノバスコシアはあまりに 非インターナショナルで、皆と会話が噛み合わず無力感を感じる」と落ち込ん でいた。親友DBと会ったあとも浮かない顔に変わりはなし。まあそれが inaka-ness っちゅうもんよ。俺も須坂で1人だったときには、なにもするこ とがないとイライラしたよ。
■ 03/06/05 (木) 07:28 ノバスコシアのワインディングロード
 本日は近郊ドライブ&DB訪問。DB家までは、これぞノバスコシアという 感じのうっとりするようなワインディングだった。制限速度を守って流してい るだけでも、ちゃんとした車だったら絶妙のトラクションを味わえるのが目に 見える。あー自分の車かバイクでここを走りてーとうめくと、運転するSHは 「そうなのよー楽しいのよー」と俺の気持ちを分かっていた。だがこのクライ スラーは運転していてつまらんそうだ。横に乗っていてもそれは分かる。
■ 03/06/06 (金) 10:36 農場地帯へ移動
 最後にピクトゥのレストランでうまいシーフードを食べ(大西洋の魚はうま い)、移動1時間で現在PR家。想像以上の out in the boonies(ド田舎) である。こんな牧場地帯にある家なんて訪問したこともない。キャンプ場クラ スの田舎です。
■ 03/06/07 (土) 09:10 とんでもないどいなかに住むPR家
 鼻水とクシャミが出はじめた。牧草地帯ゆえの軽いアレルギー反応かもしれ ない。なにはともあれ明日は我が家だ、もう大丈夫。  萌とブーニーを楽しむ。GLが庭の小さな池で釣りをしようとミミズを集め ている。ヤギと遊び、池に石を投げ込み、GLが釣ったトラウトを眺める。こ りゃいいわい。PRのティーンエイジャーの子供たちは自力で町に出ていけな いのでさぞかし退屈だろうが、訪問するなら最高。
■ 03/06/08 (日) 07:52 ようやくホームスイートホーム
 5時起きでよどみなく進行し、トロントで飛行機を乗り換えたところで萌が 見事に寝てくれた。助かった。あと4時間で我が家へ。 ----------------------  13:20、昼下がりのうららかなバンクーバーでレガシィを快適に飛ばし、家 に到着。お疲れ様でしたー。しかし機内で寝ていた萌がぜんぜん疲れてなくて、 しかも時差でまだサンサンと日が射しているので「萌のお庭」で遊ぶといって 俺を休ませてくれない。へロへロ。
■ 03/06/10(火) 09:33:24 □ 萌の英語力
 今日も萌はノバスコシア時間起き。仕方がないので俺も7時半に起きる。疲 れを取りつつコツコツと、やりたいこととやらねばならないことを消化してい く。  しかし旅行中にいろんな人と会ったことでスイッチの入った萌の英語力がす ごい。旅行前比 1.5 倍の文章組み立て力。日本語もまたキャッチアップせね ばと頑張るのだが、日本語で話し掛けても英語でスラスラッと返事をしてしま う。こりゃはやく日本語幼稚園に連れていかないと。  やっとCL決勝を見たが、前半ミランがかなり華麗な攻めを見せていただけ で、後半からはいかにもイタリー同士という堅実な守り合いに終始し、盛り下 がっていた。セミファイナルまでは盛り上がっていたのだが、ネドベドのイエ ローが痛かったなあという感じ。ユベントス・レアルのセミが事実上の決勝で、 この試合はリーグは落としたけど頑張ったミランへのご褒美という感じ。  しかしザンブロッタというのは素晴らしい選手だ。陸上をやっても一流にな りそうな美しいフォームで走り、華麗な切り返しで楽しませてくれる。ユーベ の他の選手はネドベドがいなくては....とぱっとしなかったのだが、彼だけは レアル戦のときと同等に輝いていた。
■ 03/06/12(木) 11:02:56 □ 圧倒的萌の英語パワー
 旅行の疲れか萌がとうとう風邪をひいたが、午後から体調が上向き、走りま くり遊びまくり喋くりまくりとなった。萌の英語パワーはすさまじい。あまり の喋り量に俺は圧倒されてしまい、とても日本語で追いつけないのだ。こりゃ ヤバイなあ思っているとMが気付き、お喋りなあたしの娘だからこのくらい (量を)喋って当然よと笑う。いや実際、こりゃこのままじゃ日本語がセカン ドラングエッジになってしまうで。日本語幼稚園と日本語ビデオがあれば大丈 夫よとMは笑うが。  言葉が発達するのはいいことなのだが、今までのカタコトとは別次元で萌が 英語を使い意思表示を始めると、なんだか突然親離れしたみたいな、さびしい 気持ちがする。英語には子供ことばが特にないので、これまでは「お庭、行く?  行こう」「パンツ、いらないよ!」と言っていたのが、いきなり「I WANT to go out」「I don't NEED pants!」と、イントネーションも明瞭に大人と同 じ言い方になってしまう。これがなんか、ぎくっとするんだよなあ。  なんか、「want/need を連発してるがお前ね、そんなに自分のやりたいこと ばかり押し通してはいかんのだよ。お前に何が必要かはお父さんの方がよく分 かってるのだよ」と理詰めで対峙していかなければならないような気持ちにな る。なんだかしんどいなあ。
■ 03/06/15(日) 20:26:38 □ 向かいのEM
 今日は久々の大好天、一日中萌と外で遊んだ。プレイグラウンドにも向かい のEMのところにも連れて行った。萌はどこでも子供たちと英語をペラペラペ ラと喋っている。俺との会話では日本語が戻ってきたが。  EMはこないだ調子に乗ったときに叱ったのは悪くなかったようで、楽しく 遊びかつ別れ際はそれじゃーねと快く萌を送り出してくれた。そういう好まし い態度になると、もうじき彼女が引っ越してしまうのが惜しまれる。
■ 03/06/16(月) 10:16:09 □ 初夏の庭日
 近所ガールズがまたやってくる。EMはこないだの一件以来えらい感じがよ いのだが、相棒のKTは相変わらずひどい。仕方ないのでいい子にしていれば ちゃんとナイスに対応しつつ、そうでないときには大人の対応をすることにす る。「あっち行って水をくんできてよ」「それは人にものを頼む態度じゃない ね」「そんなイジワルなこと言わないでよ!」「いやこれがノーマルなんだよ」 「水をくんできてくださいプリーズ!」「OK、喜んで」。  だけども一向に直らない。KTはこうしてイガイガと無礼なことをいうのが ユーモアなのだと思っているらしく、ぜんぜん効き目がないまま終わったが、 俺としてはこういう対応をしていくしかないだろう。親に向かってもあんな口 をきいてるんだろうが、友達とはナイスにしないと楽しく遊べないと彼女が気 付くまでしんぼうづよく行くしかない。  難しいのは萌で、KTのこういうキーキーをなんだなんだという顔をして聞 いている。それでなくても他の子と一緒にナイスに遊ぶというスキルを習得中 の身なので、混乱して普段と違う態度になってしまう。難しい。まあこういう ゴタゴタも込みで社会性を身につけていくのだろうが。 ----------------------  夕方はEM・KLの姉妹とうちのバックヤードで遊んだ。砂遊びでえらい盛 り上がる。この姉妹とこんなに長いこと遊んだのは初めてで、彼女らがじきに 引っ越すためこれが最後になるかなあと思い、写真を撮って送ってやることに した。  まあそういうわけで一日中外で遊んだせいで、夜萌はしっかり疲れて寝てく れた。俺もいうまでもなくヘトヘト。

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