パクリのお話再び
Subject: パクリのお話再び
From: Tomohisa_Sakata
Date: Wed, 14 May 1997 12:22:37 -0700
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  ■□ カナダのサカタです、こんにちは

 (Subject がまた化けていたらすいません、MIME は難しい ;_;)


/~~ In (5lbkec$ss0@ns02.hbl.or.jp) , KATOH Yasufumi san wrote:
> 加藤@クボタシステム開発です.
     :
>> どうもこちらの人にとってパクリというのは『絶対許せまじ!』なこと
>> のようです。文化の違いなんでしょうか。僕はパクリでも、良ければ楽し
>
> でも欧米の音楽でもそういう音楽ってありますよね.それ
> ともカナダの人は特別なのでしょうか? :-)

  でもやっぱりパクリという感じのは少ないと思いますよ、具体的な統計
 は分かりませんけど :-)。

  僕がここで暮らしていて音楽について感じているつまらなさは、実は同
 じところにつながっています。ビートルズがあってストーンズがあってパ
 ンクや果てはプリンスまで出たのに、【それでもなんら影響を受けていな
 いミュージシャンがいる】ということへの苛だちがあるのです、じつは。

  日本の(ハナからお話にならない分野は除く)ミュージシャンはほとん
 ど上記のどれかを聴いて育ち、日本語を喋るのと同じようにそれら偉大な
 ものから学んだ音を出していると僕は思うんですが ─── それがときに
 はパクリにも堕してしまうと ───、北米の多くの若いバンドにはそれが
 感じられないわけです。たまにそういうバンドを聴くと、「お、これはビー
 チボーイズ(のテイストを持つ音)だ」とハッとびっくりする自分に気づ
 くので、そういう音がいかに普段流れていないかと改めて思います。


  その、過去の偉大なものに影響されない独立した音楽志向が、よい面で
 は Beck などの屹立した超独創的な音楽を生むわけでしょう。が、悪い面
 ではなんの批評性も感じられないのっぺりとした音楽が売れたり、歌い上
 げ歌唱力命の女性シンガーが私って歌がうまくて人に愛されてしあわせっ
 て顔してうおうおうおと十年一日のごとく唸っているという現象を生むの
 ではないかと感じてるんです。あるいはそれらへのアンチにしかなりえな
 い、自動車の排気を吸い込んでいるような後味の悪いノイズ音楽が若者に
 支持されたり。─── あんたらまだそんなのをやっていて、どうなってる
 んだ〜 \(@o@)/......と、20 年くらいの世界音楽の歴史がすっぽりと
 抜け落ちているんじゃないかという苛だちを感じるんです。


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  そういう面では過去の音楽を連綿と身に貯えて前進している日本のミュー
 ジシャンのほうを僕ははるかに支持し愛するのですが。───がしかし。

  日本の友だちから送ってもらう最近の音楽のテープを聴いていると、「
 デイトリッパー」のリフがそのまま入っている曲があったり、陽水が一曲
 通して聞いても「ビーマイベイビー」のカバーなのかオリジナルなのか分
 からない曲を歌ってたりしますね。僕の耳はすでに「これをこちらの友だ
 ちに聞かせたらなんて思うだろう」という批評デバイスが組み込まれてし
 まっているらしく、そういう音楽につよい違和感を感じるんです。

  才能ある人々がそんな遊び感覚に流れてしまってるのを聞くと、もしか
 したら「安直なパクリはファニーだ」という価値観が突出して、そのあた
 りのバランスが麻痺してしまってるのではないかという心配をすこし感じ
 ます。聞いたことないですけどコピーだけでアルバムを次々に出している
 女王様というバンドもあるそうですし(聴いたらきっと面白いだろうけど
 :-)。


  そんなところなのですが、同じ北米大陸に住まわれる伝説の Toshi 王な
 どは、僕とはまた違った意見をお持ちかもしれないですね :-)。


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