【Journal】過去回顧ウィーク

■ 00/10/09(月) 14:03:09 □ 音楽文庫の夢
 昔のノート読みの余韻が残り、バンドJ最後にして最高傑作の「罪と罰」 「ギャンブルマインド」を聴きたくなってテープを探したのだが、こっちに持っ てこなかったらしい。無念。1988 年夏のライブテープが見つかったのだが、 ジャズマスターでの俺のカッティングが軽く拙い。なんでレスポール Jr を早 く買わなかったのか、なんで抜くとか裏を取るなどの呼吸が分からなかったの だろうかと後悔してしまう。ぶっ飛んでいけたのはやっぱり最後の曲、「ギャ ンブルマインド」だけだったなあと今にして思う。  しかしすべては翌日に読む仕事ファイルと同じことで、過ぎ去ってみないと 本当のデキは分からないのかもしれない。スポーツ選手が年を取っても第一線 で戦いたいというのは、こういう見えている呼吸の美しさを具体化したいから なのだろう。バンドマンには引退はないのだから、まだ恵まれているほうだ。 また思い切りいい演奏をしてみたい。  いい音が残っていれば、そして俺が死ぬまでに高速インターネットが世界中 に普及したならば、MP3 でオンライン音楽文庫を作りたいな。自分や友だちの バンドのいい歌たちを、そうすれば簡単に人に聞かせることができる。
■ 00/10/11(水) 23:42:42 □ fj よ
 ついに太平洋を超えてフリーで電話するサービスが現れたのをPさんが発見。 それも試してみたかったのだが萌のために時間が半端になってしまい、またつ ながりも非常に悪くて誰も捕まらず。あちこちトライし、ARの留守電とTR 家の妻MSだけ成功する。使えることは確認できたのだが、1本つなげるのに 何十分もかかるこのつながりの悪さでは、実用は難しいなあ。いつでも使えて すぐかかる MSN は究極だ。MSには育児のぼやきを聞いてもらえただけであっ た(笑)。TR家長女が萌みたいに遊んでくれくれと手間のかかる子で疲れ果 てたんだって。  5年来ごまかし続けてきた親知らずが本格的に痛み始めた。ついに年貢の納 め時という感じ。親知らずの抜歯というのは数時間がかりの土木工事だという からなあ。気が重い。 ----------------------  その親知らずのことを考えていて、なんか昔に歯のことを Web にアップロー ドした気がして古い記事をざーっと読み始めてしまった。今はなき(?)DOS/ VAN(バンクーバー日本語 BBS)の記事が義歯ブリッジの話だった。この BBS には、皆がインターネットを使い始めてからもローカルの日本人の楽しみとし てきちんと存在意義はあったのだが、どうもうまくいかなくなってしまったの である。単に場所をインターネットへ移して気軽に続けられたらよかったのに。 残念。  それから、古い記事は fj に投稿したものがたくさんある。自由な投稿を許 さない fj のあの不毛にとげとげしい雰囲気がいつか変わり、インターネット 日本語コミュニケーションのメインストリームになってほしいと俺は願ってい たのだが、結局だめだったなあとため息が出る。「レスとはどういう意味です か、fj ではフォローといいます」なんつーヒマすぎる注釈野郎が減ることは ついになかった。激増する日本語インターネットユーザーは皆、そんなばかげ たやり取りがある場所を無視してあちこちの掲示板に住み着いているのだろう。 当たり前の話である。規制をなくして(というかハナからやりようがない)珠 玉混合で突き進む結果、たとえばサッカーに関しては WWW 掲示板類の方がは るかに面白くなってしまっている。量的に Web ブラウザなんかじゃ読み切れ ないからあまり読めないのだが(だからニュースリーダーで興味のある部分だ け効率的に読める fj が貴重だったのである)。  1年ほど前に fj.news.usage でしばし「規制派(あるいはルールブック派)」 と激しく論戦し、結局誰にも fj に対する俺のいらだちが分かってもらえなかっ たあの時点から、俺は情熱が薄れもうぜんぜん読み書きしなくなってしまった。 実際問題よしはらさんや俺のように消えていく人が多く、fj を俯瞰してみれ ばここ数年でパワーは落ちているだろう。fj は実に非インターネット的メディ アだ。「サポティスタ」(※)がやってた優秀インターネットサッカーライター 特集でも、fj なんてメディアとして扱われていなかったくらいで。  ※ ネットに散らばる面白い記事へと勝手にリンクを貼って、混乱の中を突き進 むインターネットならではのサッカーサイト  今は時折情報が必要なときに探しに行くだけ。つまり俺にとっても fj は、 俺と議論をしていた人々が望んでいた、単に「有用な情報に満たされた場所」 となってしまった。そんな場所よりも、もっとすてきな場所になれると俺は思っ ていたのに。君に見えないラブ&ピース、つれない愛冷たい平和に抱かれて眠 る、誰かが夢にだけ見た、その国よ。 この歌のよさが、いつか君にも、分かってもらえるさ 気の合う友だちってたくさんいるのさ。今は気づかないだけ  ネットはこの歌を具現化する道しるべだと思っていたのだが、ネットがどれ だけ広がっていっても、言葉の通じる範囲はなかなか広がらない。
■ 00/10/12(木) 11:59:41 □ DoDiary で頭が働く
 昨日話せなかったTRさんからメールが入っていた。できるだけ早く Freephone で掴まえて、ゆっくりゆっくりと話したい。昨夜の寝不足でMが疲 れている。  こないだまで池の底で眠ったような毎日、スケジュール帳も白紙の欄が続い ていたのに、DoDiary のスケジュールデータを整理し始めたらとたんに仕事、 電話、書き物、データベース作成、Web 整理、車の air care とやらねばなら ぬことがどんどん思い付き忙しくなってしまった。俺は行動を補助するために コンピュータを使っているというよりも、コンピュータを使うことによって思 考が加速され行動が生まれてくるというサイクルになっているらしい。まった くコンピュータがあって助かった。
■ 00/10/13(金) 21:24:01 □ なつかしの Shaughnessy Village
 終日仕事。萌はしかし毎日すごい機嫌である。一日中ブブブとよだれを吹い て楽しんでいる。よだれが口から飛ぶのが楽しいらしい ^_^;。どうやらわし らの食事からガスの元となっていたらしいブロッコリを完全にカットしたのが 効いて、おなかの調子がここのところずっとよいようだ。常時遊んでやらない とならないのはしんどいが、泣かれるよりははるかにマシだし楽しいのである。 Mも、体力は消耗すれど気持ちは豊かに見える。  ......しかしこんな調子でMが大学に戻るのは可能なんだろうか。一応ミル クはボトルから飲んでくれるようになったが、家にいる限り俺もMもほとんど かかりきりで遊んでやらねばならない。俺は仕事が入ればほぼ全面的に PC に 向き合っていなければならないし、Mだって遊びじゃないのでコースが始まれ ば毎日のアサインメントがえらいこっちゃなのである。いったい世の中のお父 さんお母さんはどうやって育児をしているのであろうか。 ----------------------  かげ博士がバンクーバーに来、なつかしの宿 Shaughnessy Village に泊ま るというので、あそこで一月暮らしたバンクーバーに来たばかりの頃の日記を 読み出してしまった。俺は今から見るとびっくりするほどカナダ暮らしを嫌っ ており、毎日沈鬱な顔をして暮らしていた。当然それを見てMも泣いていた。 それが今のように平穏になったのはいつからで、なぜだったんだろう。分から ない。結婚を決めた頃1年目にはかなり楽天的になっていた記憶がある。  ただただ小さな積み重ねと、バンクーバーに来てから増えたMの友だちのお かげかな。DOS/Van BBS とインターネットのおかげもあるかもしれない。「移 民なのにカナダ人になれない俺はどうしたらいいのだ」と、ありとあらゆるカ ナダ的なものが楽しめなく鬱々としていたのだが、ネットで日本語が直に手に 入り自分も日本語を出せるようになってみれば「カナダ人になれなくてもいい や、日本語でできあがっている自分はけっこう楽しい」と思えるようになった のがよかったように思う。カルチャーショックというのはつまり、自分を言葉 で表現できないために、体の中に毒がたまっていく状態なんだろう。M以外の 人に言葉で物事を伝える技術がなかったあの頃、ネットで日本語が使えたのが なによりの薬だったのだと思う。なんつーことを今考える。
■ 00/10/14(土) 11:36:07 □ 萌風邪をひく
 昨夜萌の鼻が詰まっていると気づいたのだが、今日の午後になってハナが流 れ始めた。うわわ風邪だ! ハナが出てごくたまに咳が出る程度なのだが、今 後どうなるかと思うと恐ろしい。ともあれ仕事を終わらせよう。  夜になってからまた萌の鼻息が荒くなっている。鼻から息がしづらいようだ。 そのせいではないだろうが寝てくれず、1時まで萌を抱いて歩く。せっかく仕 事を早く終わらせても、自分の時間はほとんどなしで一日が終わってしまった。 ふー。
■ 00/10/15(日) 11:27:33 □ M父来訪
 萌の風邪悪化する。今日はM父たちを迎えてBV家でパーティなのだが、行 けばそっとしておいてやってくれと言っても皆でとっかえひっかえ遊ぶに決まっ てるので俺は気が進まない。が、Mはこういう催しには日本人よりも律義なの で行かねばならぬ。皆バカじゃないんだから、萌の機嫌が悪ければそっとして おくわよといっている。  0:41 pm:車の中で萌が泣き出し White Rock 手前の野原で二度目の休止中。 まったく White Rock は遠い。道中がなんだか野尻湖に向かう R18 に似てる のだが、距離感としても須坂-野尻湖と同等だ。  2:34 pm:そこからは 15 分ほどで着いたのだが、最後の5分萌は絶叫泣き であった。元々車が嫌いなうえに、具合が悪いのだからどうにもならぬ。車が 止まるのももどかしく、ベイビーシートから萌を抱え上げて抱きしめ、すまん すまんすまんと百回謝って許してもらう。着いてしまえばどうということはな く萌の機嫌も直ったのだが。カナダの Family Duty は気楽だが移動がつらい。 しかもまだ誰も着いてなくて、大陸的時間どんぶり勘定によるこの待ち時間も つらい。こんなに待つなら出発を2時間遅らせよと電話がほしかったとMとも どもぼやく。  やがて去年の来日時以来変わりのないM父も含め全員が集まり、お喋りにふ ける。M父とは、元気か、日本の家族はどうしてるといったあいさつ程度で、 特に話さなかった。別に去年のことを根に持ってるわけではないが(笑)、話 すことが思いつかない。「萌をあやすときはM父のカミナリ声じゃこわくてだ めだ、もっと優しくハイトーンで話しかけてくれ」とだけいって笑っておいた。 また今週中に会う予定。 ----------------------  18:30:暗くなる前に萌が寝てくれたので速攻で帰る。帰りは泣かせずに済 んだ。途中 Surrey を抜けながら、この Surrey というのは単なる田舎町なの に、どうして犯罪都市になっちまうのだろうと考えつつ走る。メインストリー トを走っているとその理由がなんだか分かるような気がする。町のデザインと して最初から道幅と駐車場が広すぎて、どう料理しても人と人の距離があり過 ぎる町に見える。Richmond よりさらに一段道が広い。巨大駐車場と6車線道 路と反対側の巨大駐車場をはさんでやっと向かいのスーパーが見えるなんて町 には、いつも冷たい風が吹くしかない。

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