inserted by FC2 system サンキューという女の子 ('92春)
From: Tomohisa Sakata (sprynet.com)
Date: 28 May 1996 21:32:16 GMT

 In Article (ADD133809668957C39@poolc25.wellmet.or.jp)
   hara@ct.geyms.med.ge.com (Mitsuhiko Hara) wrote:
> 個人的には直線での入れ替わりが激しかったアドラーブルの勝ったオークスも
> 名勝負に入ると思っています。直線沈んでいくニシノフラワー、すごい足で先頭に
> 踊りでたけど坂上で止まってしまったキョウワホウセキ、内をついて勝利をほぼ
> 手中にしたサンエイサンキュー(T_T)、そして馬群から抜け出してきっちり
> 差切ったアドラーブル。

  僕はあの年桜花賞でニシノフラワー・サンエイサンキューの1点を自信
 をもって買い、サンキューが走らず惨敗した理由が分からずショックを受
 けていました。オークスがやってきても、桜花賞で負けたサンキューがど
 うなのか結論が出ず、不安な気持ちでパドックの彼女を見つめていました。

  サンキューは3歳のとき、これも亡くなってしまったオンエアーと共に
 府中でマチカネタンホイザをちぎった時から見ていました。なんていい走
 りをする馬なんだろう。ニシノフラワーには能力的に勝てないだろうけど、
 他の牝馬には絶対負けないなと思い、彼女が走ったレースは弥生賞以外す
 べて買い、桜花賞までは彼女は期待に応えてくれていたのです。

  オークスはキョウワホウセキが抜けているとの評判でしたが、僕はまた
 ニシノフラワー・サンエイサンキューを買いました。どちらもさしてよく
 は見えなかったけれど、他にオークスを勝ってほしい馬はいなかったから
 です。

  直線キョウワホウセキがビュッと抜け出し、それをサンキューが力強く
 追い詰めはじめたときには、頭の中がじーんと熱くなりました。ああやっ
 ぱり信じてよかったのだ。サンキュー頑張れ、抜いてくれ。彼女がホウセ
 キをみごと競り落とし、ゴールに駆け込まんとするそのとき......外から楽々
 とアドラーブルが抜いていきました。───あれほど悔しかったことは、
 僕の競馬の記憶の中で他に思い当たりません。

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  その後サンキューが秋のトライアル・女王杯・有馬とあんなことになっ
 てしまい、フラワーとラブリイだけが残りましたね。翌年の安田記念では
 フラワーが本命と目されたんですが、僕はフラワーには勝てないと思いま
 した。彼女には高い能力だけがあって、府中のこのタフなレースを勝ち切
 る精神力はない。そして同じことはラブリイにも言えると。僕の心の中で
 は、サンキューがあのレースに出ていたら、きっとあの2頭より前でゴー
 ルしただろうという思いが今もあるのです。

  あのガニマタで、メンコから眉毛を覗かせていつも力いっぱい走ってい
 た女の子には、本当に胸をわしづかみにされました。
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